こんにちは。
日本のエンターテーメントにおいて絶対に外せない人物、脚本家の坂元裕二氏。
氏が手がけたドラマや映画は大ヒット作ばかり。なんと東京ラブストーリーの時は若干23、4歳の頃だったんだとか。
僕は普段テレビはさほどみないんですが、氏が手がけたドラマが好きすぎて、録画してまとめて見るのがルーティーンとなっています。
2017年現在、「カルテット」も人気で、賑わせていましたね。
人間の本質を突くような細かい描写もさることながら、“言葉の魔術師”の異名の通りヒューマンドラマにおいて、いわゆるステレオタイプな表現ではない作品が多いのも氏の手がけた作品の魅力。
自身はファンではあるものの、リアルタイムで普段見ない事もあり全て視聴できていません。そんな中、先日知人より「それでも、生きてゆく」を紹介されました。
何故観ていなかったのか甚だ疑問ですが、“「それでも、生きてゆく」は今観ても面白い、魂をえぐられる作品”でした。
すでに完結しているのでご存知の方も多いと思いますが、大袈裟な表現ではなく、最近見たドラマの中でダントツに引き込まれました。
ダークな部分が大きいので、放送時の視聴率はそこまで振るわなかった本作ですが、今からでも決して遅くはありません。見ていない方は是非見てください。きっと何か感じるはず。
前置きが非常に長くなりましたが、そんな数々の賞を総なめにし、ヒット作を生み出し続ける坂元裕二氏の魅力が詰まった作品、「それでも、生きてゆく」を今更ながらネタバレを若干含みつつ紹介していこうと思います!
Contents
「それでも、生きてゆく」の魅力
概要
2011年7月〜9月まで放送され、“悲劇を乗り越え希望を見出す家族の物語”を丁寧に描いた、完全なオリジナルストーリーです。
家族(娘兼妹)を殺された被害者家族と殺人を犯した加害者家族(息子兼兄)。この両者の悲劇を背負った男(瑛太:深見洋貴)と女(満島ひかり:遠山双葉)の魂のふれ合いをベースに、時の止まっていた家族が、明日への希望を見出そうと懸命に生きる姿を見事に描写した作品です。
スタッフキャスト
(画像元:http://blog.hangame.co.jp/love60/article/40859971/)
スタッフやキャストのご紹介。かなり濃いメンツが揃っています。
【出演】※一部省略
- 瑛太…深見 洋貴
- 満島ひかり…遠山(三崎) 双葉
- 風間俊介…雨宮 健二(三崎文哉)
- 田中圭…日垣(深見) 耕平
- 佐藤江梨子…草間 真岐
- 福田麻由子…遠山(三崎) 灯里
- 村川絵梨…日垣 由佳
- 倉科カナ…藤村 五月
- 安藤サクラ…臼井 紗歩
- 柄本明…深見 達彦
- 段田安則…日垣 誠次
- 小野武彦…草間 五郎
- 風吹ジュン…遠山(三崎) 隆美
- 時任三郎…三崎 駿輔
- 大竹しのぶ…野本(深見) 響子
【脚本】
- 坂元裕二
【音楽】
- 辻井伸行
【主題歌】
- 小田和正「東京の空」
プロデュース
- 石井浩二
演出
- 永山耕三 宮本理江子 並木道子
辻井伸行氏のピアノもいい味出してますし、このそうそうたるキャスト陣を見るだけでも必見の価値ありですね!
序盤あらすじ-ネタバレ含む
ストーリーに沿っているので若干のネタバレを含んでいます。見たくない方は飛ばしてください。
湖畔の釣り船屋『ふかみ』。深見洋貴(瑛太)は、ここで父の達彦(柄本明)を手伝いながら暮らしている。翌日は、15年前に亡くした妹、亜季(信太真妃)の誕生日。洋貴は亜季の顔をはっきりと思い出せなくなっていた。そんな時達彦が倒れてしまう。
遠山双葉(満島ひかり)は恋人から別れを告げられて帰宅。双葉の家族は15年前から名字を三崎から母、隆美(風吹ジュン)の旧姓に変えていた。父の駿輔(時任三郎)と祖母だけが三崎を名乗っていたためか、家族は執拗な中傷に追い続けられ、耐え難い現実に双葉は行動を起こす。
達彦は重い病に冒されていた。洋貴が病院から釣り船屋に戻ると見慣れぬ女性、双葉がいた。洋貴は双葉を自殺志願者ではと警戒。空腹を訴える双葉のために洋貴が食料を買い出しに行こうとすると、弟の日垣耕平(田中圭)が車で達彦を連れて来た。達彦は病院を抜け出し、別れた妻、野本響子(大竹しのぶ)に会いに行ったらしい。会わせなかったと言う耕平は、達彦を洋貴に託して帰る。洋貴の家族は15年前の悲劇でバラバラになっていた。
達彦を落ち着かせた洋貴は、双葉とファミリーレストランへ。そこで洋貴は15年前の悲劇…妹の亜季が殺害されたことを話す。犯人は洋貴の友人だった。洋貴がなぜか話す気になった
亜季の殺害状況を淡々と語っていると、双葉はいたたまれずに店を出る。亜季を殺したのは双葉の兄、文哉(風間俊介)だった。Amazonより引用
今思い出してもいいドラマだったなぁとしみじみ。
あまり大声では言えませんが、違法アップロードも無数にありますし、もう旧作なのでセル版もレンタル落ちなどを狙えば比較的安いです!見てない方は損してますよ!
心揺さぶる言葉の掛け合い
氏の作品全てに言えることですが、どの作品も言葉の掛け合いに引き込まれまくりです。
僕は稚拙な表現しかできないんですが、「あーなるほど、そういうことか」と妙に納得させられた記事を見つけました。
→『それでも、生きてゆく』1話にみる坂元裕二脚本の真髄 - 青春ゾンビ
まさに真髄を得ていると思います。
上記記事内でも取り上げている部分ですが、瑛太扮する洋貴と満島ひかり扮する双葉の出会うシーンの会話のやりとりです。
一部引用させていただきます。
洋貴「ああ」
双葉「えっ?」
洋貴「車、アレすか?」
双葉「あっ、すいません」
洋貴「いや、別になにも、アレなんで」
双葉「・・・はぁ」
洋貴「・・・はい?」
双葉「いや・・・」
洋貴「なんすか?」
双葉「いや・・・ここの方ですか?」
洋貴「まぁ、ちょっとアレなんで、自分・・・」
双葉「えっ?」
洋貴「・・・いいすか?」(去ろうとする)
双葉「あっ!」
洋貴「えっ?」(立ち止まる)
双葉「いや・・・」
洋貴「なんすか?」
双葉「いや・・・お腹空いちゃって」
詳しくはリンク先を見ていただくとして、なんでもない(内容のない)会話にもかかわらず、これだけで、二人のバックグラウンドから人となりの想像が膨らみます。
もちろん演者の表現力あってこそですが、これぞ言葉の魔術師の真骨頂といった感じ。とても満島ひかりさんの連ドラヒロインデビュー作とは思えないですね。
大竹しのぶさんの演技もさすが大女優、もはや化け物です(超絶いい意味で)。心をえぐられます。
シリアスなシーンでも、少し吹いてしまうようなコミカルな表現が含まれていたり、1対1の掛け合いの中に一見無駄とも思えるような演出が散りばめられ、想像力を膨らませる細かい描写が随所に現れています。
静岡がちょいちょい出てくる
※画像は長野県茅野市金沢:旧三平ロッジ(画像元:http://loca.ash.jp/)
手前味噌で申し訳ございません。静岡県出身としては非常に嬉しいんです。
個人的には「最高の離婚」も大好きな作品ですが、他の作品でも静岡がロケ地になっていたり、演じているキャラの出身が静岡だったりと随所に静岡が出てくるのが単純に嬉しい。
もちろんドラマ内では転々と場面が変わるので全てではありませんが、本作は長野県や静岡県などを中心に撮影されています。
これだけで見る価値アリです!(知らんけども)
いい意味で後味の悪い終わり方
コテコテのハッピーエンドで終わる物語より、視聴者が考え余韻に浸れる方がいいと思うんです。
悲劇の渦中にいた家族(男女)が“同じ方向を向いて歩いていく”ことが大きなポイントとなっています。
どれだけ塞ぎ込んでいてもどれだけ悲しいことがあったとしても、平等に明日はきます。たとえ辛い選択だったとしても、同じ朝日を見て同じ時間軸の中で生きているのが人間(or地球上にいるあらゆる生物)。
“それでも、生きてゆく”のタイトル通り、ちゃんと生きていこうと思えるような心を揺さぶる作品です!
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「それでも、生きてゆく」総評
心を揺さぶりえぐられる感動作品
重いテーマの作品はこれまでもありましたが、殺人の加害者家族、被害者家族という終始ダークなテイストのドラマです。
ですがそんな中にも少し笑ってしまうシーンやほっこりするシーンなどもあり、中だるみすることなくぶっ続けで見られました。
脚本、演出、音楽、演者全てが魅力的で、終始心を揺さぶられ、えぐられ続ける内容でした。とりあえずもう一周見ます!
それでも、生きてゆく | |
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制作 | フジテレビドラマ制作センター |
放送 | 2011年7月7日〜2011年9月15日 |
総合おすすめ度 | ★★★★★ 5.0 |
魅力を伝えきれない!
なんでもいいから見てない人はすぐに見てみて!
あとがき
本当はもう少し魅力をうまく伝えられたらいいんですが、僕の文章力ではこれが限界です。
教えてくれた方の言葉は一切信用していませんでしたが、これは間違いなくドラマ至上不朽の名作となるはず(もうなってるかもしれない)。強いていうなら夏に見た方がいい!
まだ見てない方はチェックして見てください!