以前この記事を書いた時に、そこそこ反響を頂きました。
ちょっとだけ残す人が理解できない件 - 非アクティビズム。
「食べ物を“ちょっとだけ”残す派」VS「残さない派」についての記事です。
この時に登場した友人、仮にM君とします。僕は彼とよく遊ぶことがあるんですが、とにかくコウシャク垂れで、人が興味を持たないどうでもいい変なとこを突いてきます。
そんなM君が、また訳の分からないことを言いだしました。僕もハッタリと知ったかぶりコウシャクは人一倍強いので、毎度毎度議論は平行線になります。何度もブログに書けるネタを提供してくれるM君に感謝しつつ、本日は「蕎麦(そば)のコシ」について考えていきます。
蕎麦(そば)のコシってなんですか?
「コシがあって美味しい」などというように、「コシ」ってよく使いますが、あなたは正しく使えてますか?実は意味が分かって使えてる人って少ないんじゃないかと思います。まずは僕とM君の会話から始めていきます。※左がM君、右が僕です。
M君の良い分(質問)
蕎麦のコシって何なの?みんな分かってないと思うんだよね。
は?何の話?(また訳の分からないことを言い出したね、キミ。)
名店って言われる蕎麦屋も何度も行ってるし、ウマいと言われてる蕎麦も何度も食ってるよ?ウマいのは分かる。だけどみんな分かってないのに使いすぎじゃない?コシって何?
コシっていうのはほら、体の一部で腹と足をつなぐ部分で…ゴニョゴニョ…
っせぇな!!んなこと聞いてねぇんだよ!さっさと質問に答えろ!
…すまぬ。コシっていうのはだね、総合的に硬さや弾力が強いことを言うんだよ、きっと。
硬さって言ったよね?んじゃ言うけど硬さってさぁ、茹で加減だけじゃね?だってどれだけ名店って言われてる蕎麦屋の蕎麦だって、茹で続けたら一緒だよ?硬さも何もねーじゃん?!んじゃかけ蕎麦弾力ある?!ないよね?!
でも明らかに喉ごし違うじゃん?!わかったわかった!んじゃ乾麺あるじゃん?乾麺と蕎麦屋の蕎麦って圧倒的に違うよね?弾力から喉ごしから何からさぁ!
喉ごしなんてさっき言ってなかったじゃん!きたねー!てかだからそれが茹で加減1つじゃんって言ってんの。硬きゃコシがあるって言っていいの?乾麺だって旨いのあるし、コシって使う必要なくね?てかそれはただの硬さじゃん?
だからそれはさぁ!全部総合してコシっていうんじゃないの?!喉ごしも含めてヵおpdふぁkdfjrkgじゃjk…
んじゃあさ!kdfjりおあtgjら;tgfじゃskdfじゃおhふぁ…
~20分経過~
この後僕は他の麺類(ラーメン、うどん、パスタ)に例えたりしながら彼の質問に答えていきました。が、M君はM君で独自理論を展開。そして結局お互い一歩も引かず納得出来ず。
あまりにもM君がしつこいので、答えを出そうと思いましたが、この時電波のない山道を走行中(運転中)。電波が良い所でいったん車を停め、軽く調べてみることにしました。
その時の情報をざっくりいうと蕎麦のコシと、他の麺類のコシはどうやら違うということ、弾力と言っている人、のどごしと言っている人、様々でした。
結局君もわかってないんだよね?
うん、わかってない。よし!じゃあちゃんと調べて記事にする!それで決着をつけよう!
このとき先を急いでいたのもあり、ざっくりしか調べていないので、どうせなら答えを出してやろうということで、「蕎麦のコシ」について調べることになりました。
コシとは
というわけで調べてみたところ、どうやら1つの答えに収まりそうもありません。いくつか見ていこうと思います。
抽象的で分からない説
トップに出てきたのはお蕎麦屋さんのサイト。まずはコチラ(ソバヤコム|蕎麦屋が作る蕎麦についてのサイトです。)から抜粋します。
コシとは適度な噛み応えがあるが
決して意識されないもの。
僕には抽象的すぎてわかりませんでした。先に進むと、「と思います。」と続くので、あくまでもサイト管理人の主観のようです。最終的な結論は、
麺の外側と内側の食感の差が無いもの。が
蕎麦のコシである。
といった、独自の理論を展開しています。 つまり、茹で加減によって変えられるものがコシといっていいのでしょうか。そうなると単なる硬さになってしまいます。
現代のコシと昔のコシは違う説
確かにグルメレポーター含め、巷では「コシがあってウマい!」という表現をよく使うような気がします。僕自身もこの意味で使っていましたし周りでもよく聞く気がします。背景にはパスタのアルデンテ(芯を残す)という文化が浸透したからという説もあります。なので現代では「硬い=コシ」と言うようになってしまったようです。
では昔はどうだったのかというと、
昔のコシは、硬さだけでなく,ねばりや,たおやかさや歯切れなど複合的な歯触り,あるいは,舌触りや胃の腑への納まり具合まで含んでいた
そばのコシとは何か 蕎麦の腰はどうあるべきか そばの食感とは 固いそばはコシがある? 麺のテクスチャ (そばの歴史,喜心庵)
ここまでは正直考えてませんでした。ですが様々なことを複合してコシと呼んでいたようですね。もう少し詳しく説明すると、
そばの場合,キメの粗いそば粉やさなごや末粉まで混ぜた粉など質の悪い粉を使ったり,コネが不十分だったり,茹で不足などで,歯切れの悪いそばをハヌカリと呼び,歯切れの良い心地よい硬さをコシと呼んでいました。
そばのコシとは何か 蕎麦の腰はどうあるべきか そばの食感とは 固いそばはコシがある? 麺のテクスチャ (そばの歴史,喜心庵)
なるほど。ハヌカリ(歯ぬかり)は和菓子でも使う言葉のようですが、昔の歯ぬかりした蕎麦は食べられないほどだだったそうです。
では現代でいうコシが何かというと、
芯が残っている歯切れの悪い硬さをコシと呼び,のびたそばを,ハヌカリと呼ぶようです。
そばのコシとは何か 蕎麦の腰はどうあるべきか そばの食感とは 固いそばはコシがある? 麺のテクスチャ (そばの歴史,喜心庵)
僕の脳ミソでは処理しきれませんでしたが、「柔らかめに茹でたコシのある蕎麦」ももちろんあり、「硬めに茹でた歯ぬかりする蕎麦」はあるということです。
先述した通り「かけ」だろうが「ざる」だろうが、コシがあると言っていいということですね。 硬さだけではなく複合的な意味合いが強いと言って良さそうです。
喉ごし説
そして最後にベストアンサーではないですが、少し興味深かったので、Yahoo!知恵袋からの答えも掲載しておきます。
中華麺、饂飩だと、噛んだときの歯ごたえと言うか弾力。
ソバの場合も、それと、同じ事を表現する場合もありますが、
俗に言う通の食べ方だと、ソバは噛みません。
と言う事は、噛んだときの歯ごたえとか弾力では無い訳で、
ノドを通る時の、のど越しになります。
実はこれは友人のM君も言っていて、「蕎麦はそもそも弾力は(そこまで)ない。ましてや咀嚼回数も少ない。喉ごしの良さではないか。」ということです。
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結論
現代では端的に、または麺類の単なる褒め言葉として使っていると思います。僕自身もそうしてきましたし、これからも使うと思います。
ただ今回調べてみて、僕なりの結論を出すと、「硬さ、歯切れ、粘り、茹で加減、喉ごしなどが複合的に絡み合ったもの」と言えそうです。 つまり、自分が食べて絶妙な状態こそがコシがあると言っていいのではないでしょうか。
あとがき
うどんなどで俗にいう弾力は、実はデンプンが固まったものです。100%のそば粉であっても、蕎麦の実の外側を使った蕎麦粉は打ちやすい代わりに、ボソボソになりやすいんだそうです。
更科(さらしな)粉は白いそば粉で、ほとんどデンプン質で出来ているため、この更科粉を生粉打(きこううち)*1すると、蕎麦のコシがあらわれるそうです。一般的なあまりおいしくない蕎麦は、つなぎに小麦粉や蕎麦の繊維質のせいでコシがあらわれにくいんですって。
結局コシって何なの?
それはそうと本わさびウマいよね。
わっかんね。
鮫皮おろしがあった方が風味が良くでるぜ。
以上。
コシについて調べてみたけどなにか?
*1:つなぎを混ぜずに打ったそばのこと