“超小型4Kジンバルカメラ”の元祖といえば「DJI Osmo Pocket」。
リリース当初と比べればかなり値下がりしたものの、まだまだソコソコお値段はします。
価格に加え、画角の狭さ、三脚取り付け不可など、「Osmo Pocket」ユーザーからは、いくつか不満が出ています。
そんな歯がゆい部分を解消した製品こそが、Xiaomi(シャオミ)からリリースされている、「FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ」です。
今回は、DJI Osmo Pocketキラーこと、「FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ」のレビューをしていきます。
Contents
Xiaomi FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ インプレッション
「Osmo Pocket」を皮切りに、4K対応3軸型超小型ジンバルカメラは、「Snoppa Vmate」「Feiyu Pocket」「REMOVU K1」といった具合に、様々なブランド(メーカー)からリリースされています。
Fimiは、2014年に設立後Xiaomi(シャオミ:小米科技)傘下となり、Ambarella A12チップを搭載した低価格アクションカメラ、「mijia 4k」がバカ売れ。
その後ドローン製品でも中国国内でベストセラーになるなど人気を博し、2019年年末頃に満を持して登場したのが、「FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ」です。
これまでもシャオミ製品、シャオミ傘下の製品を触ってきて実感しているのは、
低価格なのに高品質かつ高性能
という点。
「FIMI PALM」は、超小型ジンバルカメラの魅力である携帯性はもちろん、ロープライス&ハイクオリティを併せ持った、まさにOsmo Pocketキラーなんです。
スペック紹介
FIMI PALM Gimbal Camera | |
ブランド | Xiaomi(FIMI) |
モデル | PALM |
カラー | ブラック |
回転範囲 | Yaw 240°-+60°, Roll ±45°, Pitch ±90° |
バッテリー容量 | 1000mAh |
定格出力 | 2.5W |
定格電圧 | 7.4V |
駆動時間 | 240min※スタンバイ |
通信 | Wi-Fi IEEE 802.11a/b/g/n/ac Bluetooth:4.0 |
イメージセンサー | 1/2.6' CMOSイメージセンサー 有効画素数:2M |
焦点距離 | 14mm |
ISO | 静止画:ISO100-ISO3200 動画:ISO100-ISO3200 |
画像フォーマット | JPEG / JPEG+DNC |
スローモーション | 4x 8x |
画角 | 最大128° f/2.4 |
対応SDカード | microSD(U3)※最大256GB |
シャッタースピード | 1/8000s-30s |
動画解像度 | 4K:3640 x 2160p 30/25fps 2.7K:2716 x 1524p 30/60/25/50fps FHD:1920 x 1080p 30/60/25/50fps |
ビットレート | 100Mbps |
ビデオフォーマット | MP4(H.246/H.245) |
サイズ | 30.5 x 22.7 x 127.0mm |
重量 | 120g |
製品の特徴・概要
大きな特徴は、小型、高性能、お手頃価格といったところですが、もう少し掘り下げます。
【FIMI PALMの概要・特徴】
- 1~3秒で起動、撮り逃しなくすぐに撮影可能
- 3軸スタビライザーによる優れた手振れ補正
- HiSilicon製ISPチップ搭載による鮮明な4K動画撮影
- セルフィーも楽々128度の超広角レンズ搭載
- Wi-Fi、Bluetooth機能、アプリ連動でスマホによる遠隔操作可能
- フェイストラッキング機能、ジョイスティック搭載により、簡単かつ直感的な操作性
- 240分駆動可能なバッテリーと高速充電やファイル転送が可能なUSB Type-C採用
- タイムラプス、パノラマ、スーパーHDR、ズーム、露出補正、スローモーションなど、豊富な機能満載
“Osmo Pocketに被せてきた”と、誰もが一目瞭然の筐体デザインですが、「FIMI PALM」は、とにかくコンパクトでポータブルな小型ジンバルカメラです。
3軸スタビライザー、手振れ補正によるスムーズな描写、Huaweiのスマホに搭載されているSoCこと、Kirinを生み出す半導体メーカー、HiSilicon製のチップを採用することで、4K動画に対応しています。
Osmo Pocketは4K 60fpsまで対応してるウキ!
筐体には、三脚等に連結出来る1/4インチネジ、解像度240×240、1.22インチ600nitの高輝度タッチディスプレイ、直感的操作が可能な5wayジョイスティック、デュアルマイクやストラップホールを搭載。
またOsmo Pocketは、有効1,200万画素の1/2.3' CMOSセンサー、レンズの画角は80度(F2.0)と、明るいレンズを採用しています。そのため、暗所撮影には比較的強いものの、画角の狭さに不満を持つユーザーが多いです。
これに対し「FIMI PALM」は、有効画素数2000万画素の1/2.6' CMOSセンサーに、画角は128度(F2.4)と、アクションカメラ並みの超広角が魅力となっています。
もちろん、専用アプリ「FIMI PLAY」をインストールすることで、Wi-FiやBluetoothを介したリモート操作も可能。
そしてチップセットの恩恵もあり、1000mAhのバッテリーながら240分もの長時間駆動、Type-Cを採用したことで、高速充電やファイル転送も実現しています。
被写体の顔を認識して追従する、フェイストラッキング機能や、タイムラプス、スーパーHDR(ハイダイナミックレンジ)、夜間撮影、8倍スローモーション、3倍ズーム、パノラマ、露出補正、HEVCコーデック(H.265)など、機能も豊富で、価格以上の価値を提供してくれます。
防塵防水対応ではないため、マリンスポーツや水中撮影などの、水を伴うレジャーには不向きですが、Vlog、旅行やレジャー、入学式や卒業式、運動会といった学校行事、日常の何気ない1コマを撮影するなど、利用の幅は多岐にわたります。
- アクションカメラより画質も綺麗で手振れが少ない
- 一眼やビデオカメラより軽量でフットワークよく使える
- そして安い
「FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ」は、まさにカメラのいいとこどりをしたような製品です。
- わずか120g超軽量小型4K対応3軸ジンバルカメラ
- 充実機能とブレの少ない美しい描写
- Osmo Pocketの約半額の価格※現在は現2/3ぐらいの価格です
- 4K撮影は30fpsまで
- アプリ含め原則英語表記
Xiaomi FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ 実機レビュー・評価・感想
今回は、フラッシュセールのタイミングで2万円を切っていたこともあり、海外サイトを利用しました。※到着まで2週間ぐらい
未だ海外サイトの方がほんの少し割安ですが、国内大手のショッピングサイトを利用しても、そこまで大きな価格差はないので、比較的購入しやすいのでないでしょうか。
では、実機のレビューに移っていきます。
化粧箱・パッケージ
海外配送したため、箱潰れはいつものことですが、外観は白ベースのシンプルなパッケージとなっています。
背面の特徴や仕様は、英語と中国語表記です。
【パッケージ内容】
- FIMI PALM ジンバルカメラ × 1
- ジンバルカバー × 1
- USB-Cケーブル × 1
- 取扱説明書 × 1
取説は、中国語と英語のバイリンガルです。
後述しますが、アプリ含めて「FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ」には、日本語表記はありませんのでご注意を。※今後アップデートされるかもしれません
筐体・デザイン
タッチスクリーンディスプレイ側に、5-wayジョイスティック、電源/シャッターボタン、ステータスLEDとマイクを配置。
反対側には1/4'ネジと、グリップ性をよくするためでしょうか、凹凸加工のあるグレーのカバーがデザインされています。
筐体はオール樹脂製で、耐久性は正直期待できそうもありません。
「FIMI PALM」の軸部分は、
- Yaw / Roll / Pitch
となっていますが、
- Pan / Roll / Tilt
と表記される方が多いかもしれません。
底部分にType-Cポート、側面microSDカードスロットとストラップホールが配置されています。
反対側面にはもうひとつマイクが搭載されているため、セルフィー時の集音効果を高めています。
カメラ部分は一応レンズむき出しではないですが、傷が心配ならフィルム推奨。
ディスプレイの傷防止もしたいのであれば、フィルム類のセット購入もいいかもしれません。
また、「FIMI PALM」のカバーはカメラ部分のみを隠す簡易的なものなので、持ち歩くときに“筐体を保護”したい場合は、別途収納ポーチ等用意する必要があります。
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Xiaomi FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ 使用感レビュー
ややもっさり気味ではあるものの反応のいいタッチスクリーン
筐体サイズの通り、1.22インチの小さな液晶ですが、屋内外問わず視認性はいいです。
ややもっさり感は否めないものの、デフォルトで付いているフィルムを付けたままでもタッチディスプレイの感度は良好で、男性の手でもしっかりと認識してくれます。
ジョイスティックとスワイプやタップの直感的な操作なので、慣れてくれば起動から設定までサクサク使えます。
他にも細かい設定やモードはありますが、操作方法やステータスの状況は下記の通りです。
FIMI PALM 操作方法 | |
ファンクション | ステータス |
電源/録画ボタン | 長押:電源ON/OFF 単押:撮影・録画 2回押:センターに戻す 3回押:180°(セルフィー)切替 |
5-wayジョイスティック | 単押:動画をマーク※ビデオ撮影時 長押:5-wayジョイスティック切替※プレビュー時 上:カメラを上に動かす※Mode1 下:カメラを下に動かす※Mode1 左:カメラを左に動かす※Mode1 右:カメラを右に動かす※Mode1 上:ズーム + ※Mode2 下:ズーム ‐ ※Mode2 左:EV - ※Mode2 右:EV + ※Mode2 |
タッチスクリーン | スワイプ右:撮影モード切替 スワイプ左:撮影モード切替 スワイプ下:設定 スワイプ上:メディアライブラリー |
LED | 緑点灯:ノーマル 緑点滅:録画 赤点灯:ローバッテリー/異常 赤緑交互に点滅:ファームウェアアップデート |
本体もマニュアルも、中国語と英語のみとなっているので、英語に苦手意識のある方は「FIMI PALM」はお勧めできません。
明るくクリアでセルフィーも余裕の広角画角
手振れ補正はさすがジンバルカメラ。アクションカメラやスマホの手持ち撮影とは雲泥の差です。
また少しカクつくものの、ズームもバッチリでき(デジタルズームなので粗さは目立ち)ます。
そして「FIMI PALM」のウリでもある、128°の広角な画角。
さすがウリにしているだけあって、進行方向の景色もさることながら、セルフィーで撮影しても余裕で5人ぐらいは収まります。
Osmoも、アタッチメントを付けることで画角を変えられますが、デフォルトでこの画角なら、アクションカメラと同じように、よりレジャーやアクティビティ向きともいえそうです。
著者はアンチGoProなので(Osmoもそうですが高くて手が出ないだけw)、これまで様々な中華アクションカムを試しています。
1万円台(もしくは以下)のモデルで、おかしなデジタル補正が少なく、自然な色味・描写、手振れ補正など、トータルで納得できたのは下記モデルです。
上記は、先にあげたFimiの「Mijia 4k」と同じく、Ambarella製A12S75チップを搭載しています。
アクションカメラの画角は170°と、かなり広い画角に設計されているモデルが多いです。
ですがアクションカムの特性上、セルフィーで撮影する機会はほとんどないうえに、撮影するとなれば、別途ジンバルやセルフィー棒、三脚(一脚)など、アタッチメント類の付け替えが必要です。
また前述しましたが、Vlog用(だけでは当然ない)のコンデジや一眼はそれ本体で重量があり、機材一式持ち運ぶのは(好きでなければ)かなり面倒です。
これらをふまえると、「FIMI PALM」は、両者のいいとこどりをしたAll in Oneの、かなりバランスが取れた製品と言えます。
画像はノートPCから30cmほどの距離で撮影しています。※AUTO設定
夜間含め暗所撮影はそこまで強くはないものの、個人的には全くもって及第点。
明るさでいうと確実にOsmo Pocketに軍配が上がるウキ!
パンやチルトは、スマホジンバルやカメラジンバルに比べややもっさり感はあるものの、フェイストラック機能をうまく使ったり、慣れの問題も大きいので、使い込めば使い込むほどいい記録が出来そうです。
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会員登録なしのアプリで大画面で遠隔操作
「FIMI PALM」をスマホで遠隔操作するには、『FIMI PLAY』という専用アプリをDLします。
都度Wi-Fiを接続する必要はありますが、スマホやタブレットなどの大画面で操作・確認できます。
普段利用しているWi-Fiに接続している場合は、「FIMI PALM」に一度Wi-Fiを切り替える必要があります。
アプリ評価がやや低いのは、英語しかないなどの頓珍漢な評価もあります(英語読めないなら本製品自体不向き)。
毎回接続する必要があるので正直面倒ですが、Bluetoothのバージョンは4.0とのことなので、多少離れて(10m前後まで)いてもリモート操作できます。
「FIMI PALM」を固定している状態のときは、アプリを使って撮影するのも思いのほか楽しいです。
もちろん「FIMI PALM」は、アプリなしでも使えます。
個人的にアプリは必要ないと思っていましたが、Wi-Fi接続後ファームウェアアップデートも出来るので、常に最新の状態にしておきたいならインストールしておけばいいでしょう。
集音効果はマズマズ、音質は籠り気味
デュアルマイクを搭載しているため、もう少し期待していましたが、集音効果は比較的高いものの、音質は少しこもっています。
Type-C to φ3.5mmを介して安物のピンマイクで試したところ、認識しませんでした(いくつか試して状況が変わるようなら追記します)。
純正以外でも対応モデルはあるので、よりクリアな音質を求める方は、マイクは別途用意した方がいいかもしれません。
動画紹介
動画でも解説してますのでご参考ください。
気になった点・注意したほうがいい点
価格から言えば、非の打ちどころのない製品です。
このサイズで4K撮影可能で暗所も撮れて約2万円。手軽に動画撮影をしたいなんて人にはうってつけです。
ただ、
- 画質を追求したい
- 日本語対応必須
こんな方は辞めておくことをおすすめします。
何度か言っている通り、「FIMI PALM」の最高画質は4K/30fpsです。例えばドラレコで使用する場合、コマ数が少ない分疾走感が増してしまいます。
これを是とするなら特に問題はありませんが、60fpsまで対応しているモデルがある以上そちらを選ぶのが賢明です。
また、所詮小型ジンバルカメラ、されど小型ジンバルカメラです。
センサーサイズも小さいでしょうし、全箇所にフォーカスしてしまうので、単焦点レンズや望遠レンズを使ったようなボケ画像・動画は撮れません。
そして何度か言っているように、暗所撮影はかなり苦手なので、明るさや画質を追求したいなら、素直にコチラです。
日本語対応必須に関しては、「FIMI PALM」の言語設定は中国語と英語のバイリンガル設定。ほとんどの方が、マニュアル、本体、アプリを英語で利用することになるため、
- 英語が苦手なら辞めておくのが賢明
という、既出の通りです。
Xiaomi FIMI PALM 3軸ジンバルカメラ 総合評価
歴代中華アクションカメラは全て水没させてきている(防水ハウジング付けずに使用)ので、防水非対応は少し心配ですが、これからヘビーユーズします。
キャンプやサイクリング、トレッキング、釣りなどのアウトドア、Vlogや行事ごと、日常の記録用など、滑らかで揺れの少ない動画が簡単に撮影できます。
日中は白飛びすることなく鮮明で自然に近い色味を出してくれますし、タイムラプスやスローモーションなど楽しめる機能も満載。
スマホよりさらにフットワークよく、スムーズな動画を撮りたいなら、ぜひ使ってみてほしいおすすめのジンバルカメラです。
【総合評価】 | |
製品名 | Xiaomi FIMI PALM Gimbal Camera |
総合おすすめ度 | 4.8 |