お手頃価格で高性能なペンタブレットブランドのひとつ「XPPen」。そのXPPenより、かなり気合の入った高性能液晶タブレットが登場です。
今回はそんな本格仕様の「XPPen Artist 22 Plus」をレビューしていきます。
Contents
XPPen Artist 22 Plus 液晶ペンタブレット インプレッション
今回のモデル『XPPen Artist 22 Plus』は、業界初と言われる16,384レベルの筆圧感度のスマートチップ内蔵スタイラスペン「X3 Pro」に対応した液晶ペンタブレット「Artist Pro 14(Gen2)」「Artist Pro 16(Gen2)」、ペンタブレット「Deco Pro(Gen2)」に続き、新たに仲間入りした液晶ペンタブレットです。
sRGB130%、Adobe RGB103%の色域面積比(sRGB99%、RGB91%の色域カバー率)の21.5インチ大画面液晶です。解像度はフルHD(1920×1080)、アスペクト比は16:9。またディスプレイにはフルラミネーションやアンチグレアを採用するなど、従来(同サイズ)モデルを継承しています。
ちょうど同社ハイコスパモデル「Artist 22 セカンド」の細かい部分がグレードアップした上位互換後継モデルといった位置づけです。
お絵描き用途のみではなく、動画観賞やゲーム他マルチディスプレイへの拡張機能も健在。イヤホンジャックも搭載しているので、サブディスプレイとしての活用もしやすくなっています。
XPPENユーザーはもとより、板タブ派も液タブ派も要チェックの製品です。
- X3 Proスマートチップスタイラスペン付属(16Kレベルの筆圧感度)
- 22インチサイズフルHDフルラミネーションディスプレイ
- HDMI、Type-C、VESAマウント、イヤホンジャック他幅広い拡張性
- 本体のオーディオ出力なし
- 手軽さは低め
スペック紹介
XP-Pen Artist 22 Plus Drawing Display | |
モデル | MD220FH |
カラー | ブラック |
---|---|
作業範囲 | 476.06 x 267.79 mm |
スタイラスペン | X3 Proスマートチップスタイラス |
ON荷重 | 3g |
筆圧レベル | 16384 |
傾き検知機能 | 60° |
画面解像度 | 1920 x 1080 |
フルラミネーション | 〇 |
視野角 | 178° |
コントラスト比 | 1000:1 |
輝度(標準) | 250 cd/m2 |
解像度 | 5080 LPI |
色域カバー率(標準) | 99% sRGB、91% Adobe RGB |
色域面積比(標準) | 130% sRGB、103% Adobe RGB |
色深度 | 8-bit |
読取高さ | 10mm |
反応速度 | 14ms 200RPS※最大 |
精度 | ±0.4 mm (中央) |
搭載ポート | USB-C x 1 HDMI x 1 3.5mmイヤホンジャック x 1 DC x 1 |
入力 | AC 110-240V |
出力 | DC 12V ⎓ 3A |
対応システム | Windows 7 以降, Mac OS X 10.10 以降, Chrome OS 88以降, Android(USB3.1 DP1.2), Harmony OS, Linux |
サイズ | 547 x 364.67 x 33.4 mm |
※取説・ショップページ・公式サイトから抜粋
XPPen Artist 22 Plus 液晶ペンタブレット 実機レビュー
今回はメーカー(中国)からの直送でしたが、約2週間程度で到着。配送(業者)により梱包資材に凹み傷があったものの、梱包が手厚かったので化粧箱には傷ひとつありませんでした。
またメーカーからサンプルをご提供いただいています。発売前のレビューのため、異なる部分もあるかもしれませんがご了承ください。
化粧箱・パッケージ
化粧箱は華やかなイラストが象徴的なデザインです。「X3 Pro」「16K」の印字もしっかり主張しています。
裏面は対照的にシンプルです。
側面に仕様が記載されています。
梱包には緩衝材のスポンジが前後左右上下に敷き詰められています。
筐体本体だけでなく付属品も保護されているので、配送時の衝撃にも充分配慮している姿勢がうかがえます。
【パッケージ内容】
-
- XPPen Artist 22 Plus × 1
- X3 Proスタイラスペン × 1
- ペンホルダー × 1
- USB-C to USB-Cケーブル × 1
- USB-A to USB-Cケーブル × 1
- HDMIケーブル × 1
- 替え芯 × 10
- 芯抜き × 1
- グローブ × 1 ※2本指
- クリーニングクロス × 1
- 電源アダプター × 1
- 電源コード × 1
- ケーブルカバー × 1
- ユーザーマニュアル × 各1 ※クイックガイド、保証書、ステッカー
周知の通りですがマニュアルは日本語にもバッチリ対応しています。
取説でも充分細かく解説されていますが、公式HPからもクイックガイドや詳細マニュアルをダウンロードできます。公式サイトではほぼ全ての国や地域、言語に対応しています。
筐体・デザイン
ペンタブレット本体
液晶はノングレアでマットな仕上がり。エッジ部分は同社"Pro"モデルに採用されているXPPen独自のリストレスト「X-Edge」でこそないものの、長時間使用でも疲れにくい適度な傾斜が施されています。
物理ボタンは上部の電源ボタンと輝度コントロールのみ。上部にはLEDインジケーターランプも備わっています。
接続ポートは上から、電源、Type-C、HDMI、3.5mmイヤホンジャックとなります。カバー付属なので目隠しも可能です。
スタンドは従来大画面モデルと同様に金属製で堅牢性が高くかなりガッチリしています。
VESAマウント(サイズ:100x100mm)にも対応しているので、アームの活用や壁掛け他スタンドで据え置きしたくない場合など、より拡張性が高い仕様となっています。
またスタンドは従来大型液晶モデルと同じく角度調節付きスタンドとなっており、傾斜角度は15°~88°とかなりアジャスタブル。シーンに応じた使い分けが可能です。
スタンド側はゴムローラー、本体側にはゴムグリップが施されているのでグリップ性もあり傷防止にも配慮。上部分を摘まむように挟めばゴムローラーがコロコロ転がり簡単に傾斜がつけられます。
本機に限ったことではありませんが、スタンドの角度調整機能だけでも細かい配慮がうかがえます。
本機には、従来のようなペンケース兼別置きの替え芯格納式ペンスタンドではなく、上部に取り付け可能なペンホルダーが備わっており、筐体一体型に改良されています。
ペンホルダーは容易に着脱可能で替え芯3本格納できる仕様です。※後述にも記載
開封してまず感じたファーストインプレッションは「(物理的に)デカい!重い!」です。
22インチサイズの液タブともなればやはり大きく、あらかじめそれなりの作業スペースは確保する必要があります。W1200mmのデスクですが、液タブはW547mmなので数値の上でもデスクのスペースを半分近く占有します。
スペック欄に製品重量の記載はありませんが、USP(海外配送サービス)にはパッケージウェイトは7kgと記載されています。液タブ本体だけでも5kg程度はあるので、基本固定して使うのがオススメです。
スタイラスペン
前述の通り『XPPen Artist 22 Plus』は、16Kレベルの筆圧感知「X3 Pro スマートチップスタイラス」に対応したバッテリーフリーのスタイラスペンです。
一見樹脂製のようにも見えますが、公式サイトを見ると材質はアルマイト処理された金属(アルミ合金)とラバー素材(ハードゴム、シリコン)で構成されています。
ファンクションはグリップ部分にショートカットキーが2つ、テールには消しゴムツールが備わり、重心が先端方向へと自然と促される先太り形状で、広めにとったラバーグリップと相まって良好なグリップ感に仕上がっています。
こちらも重複しますが、ペンホルダーは従来モデルに付属していたような液タブと分けて独立置き可能なペン立てタイプではなく、液タブに挿し込んで(挿しこみ部分に横差しで替え芯3本格納可※フェルト芯は付属なし)固定する一体型専用形状です。
液タブ一体型となりペンの置き場所に困らなくなったことで利便性が上がる一方、スタイラスペンを流用していて持ち運ぶことが多い人や、使わないときは見えなところにしまっておきたい派(である筆者)には、ペンケースタイプの方がありがたいとも思います。
最近一体型の傾向があるような気もしますが、ここは賛否分かれそうです。
その他付属品
電源コード(AC/DC側共に)トータルでは充分な長さがあるので置き場所には困らないと思いますが、アダプタがソコソコ大きくて重いので設置環境によって多少工夫する必要があるかもしれません。
またコンセントプラグ形状がアース付き3Pプラグなのでご注意を。筆者も失念しており予備がなく急遽用意しました。
本機も従来起同様、様々な方法で接続可能です。接続可能なケーブル類は全て同梱されているので液タブ以外の使い方はもちろん、様々なデバイスとの互換性があるのは助かります。
XPPenのロゴ入り二本指グローブも付属しています。筆者はそこまで手が大きい方でもありませんが、男性でも余裕をもって装着できるぐらいのサイズ感です。
この他、クリーニングクロスも付属しており、至れり尽くせりの付属品はXPPenならではです。
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XPPen Artist 22 Plus 液晶ペンタブレット 使用感・評価・感想
いわずもがな本機使用前にドライバーをダウンロードする必要があります。公式サイトで当該モデルのドライバーをOSに合わせてダウンロードしていきます。
他モデル同様、エリアの設定やペンの設定など好みに応じたカスタマイズが可能です。
【インストールにおける注意点】
- インストール前にウィルスソフト、グラフィックソフトをオフにする
- 他社製ペンタブレット/液晶タブレットドライバをアンインストール※既に何かインストールされていた場合
- インストール後は再起動
- 定期的にアップデート版がないか公式をチェック
広大な作業領域と滑らかで正確な描写体験
大は小を兼ねるといいますが「Artist 22 Plus」まさにその言葉がしっくりくる製品です。
ベゼルは太目で作業領域(表示エリア)はもう少し狭いですが、A4サイズの紙を置くとそのサイズ感がわかると思います。
それもそのはず、ディスプレイ全体ならほぼA3サイズ(A4-2枚)がおさまります。
この広大な作業スペースに、筆圧感度16K、ON荷重3g、傾き検知60°、沈み込み0.6mmのスタイラスが加われば、描きづらいわけありません。
滑らかで何の不満もない鉛筆とシャーペンを足したような自然な書き心地です。
フルラミネーションや筆圧感度、ON荷重の恩恵なのか、本当に軽いタッチでもスーッと描けるので、線が途中でとぎれるようなことはありません。
逆にアンチグレアマットフィルムでもあるので滑り過ぎず、紙の上で書いているような質感でもあります。
ポインターは1cm強ぐらいで出てきてくれて、視差はあるといえばありますが筆者は気になるほどではなく、エッジギリギリでも思い通りに描けています。
作業領域が大きいのでウィンドウ内の細かい文字や本来なら拡大する箇所も見やすかったり、ストレスなく楽しんで使えます。
8Kモデルもこれまで試したことはありますが、“2倍の筆圧感度”だからといって決して2倍滑らかになるわけではありません。
鈍感な筆者には8Kと16Kの明確な違いが分からないながらも、グリップ感の良さや精度の向上により、描きやすくなっているのは実感できます。
発色がよく鮮明でナチュラルな描写
隣のWQUXGAと比較すると、粗さや発色の違い(やや鮮やかになる)は見て取れるものの輝度調整でかなりある程度近い描写には近づけます。
当方絵師ではないのでAIに描かせたイラストをちょこちょこいじって楽しんでいる程度ですが、フルHDというとそこまで高精細ではない印象ですが、広色域仕様のおかげで目的に近い発色は再現できていると思います。
より高精細なディスプレイと比べると、拡大時のドットの粗さは際立つものの、ナチュラルで繊細な描写となっています。
メディア鑑賞やゲームに最適なマルチディスプレイ
「Artist 22 Plus」はイヤホンジャックを搭載しているので映画や動画観賞、ゲームなどディスプレイとして使えるのも忘れちゃいけません。
本体にスピーカーが内蔵されていればさらに最高ですが、そこまでいったらもはや液タブである必要がなくなってしまいますね。
何にせよプラスアルファ機能として使うのがもったいないと思えるほど、サブディスプレイ(マルチモニター)としての価値も高いです。
Switchはドック経由のHDMIで繋ぐ必要があるので若干面倒ですが、ヘッドホンやスピーカーを別途用意してゲーム用メインディスプレイとしても使うのも全然ありだと思います。
気になった点・注意したほうがいい点
これといった不満点はなく、従来モデルから実直にアップデートされていると感じます。
1点挙げるとすれば、
- ポータブルなお手軽さはない
ぐらいだと思います。
様々なデバイスとの接続も可能で互換性は高いものの、持ち運べるサイズや重さではないですし、確実に電源の確保(3Pプラグ)も必要なのでiPadのような手軽さは皆無。
同じ屋内でも、部屋から部屋間の移動も躊躇したくなる(一回設置したら動かしたくない)ぐらいのサイズや重さ感といえばわかりやすいでしょうか。
また個体差の可能性もありますが、付属の電源ケーブルのフェライトコア(ケーブルの丸い筒部分)の位置が微妙過ぎてケーブルカバーがどうやってもうまく閉まらず無理やり押し込みました。
他のケーブル類も含め、ただでさえ鬱陶しいケーブル類をまとめて閉じてしまったら、もうその場から二度と動かしたくありません。※フェライトコアの位置は個体差であることを願います
スピーカーを増設すればなおさらです。
その分角度は設置場所から移動する(持ち上げる)必要もなく簡単に調整できてしまうので、デスク上でシーンに応じて使い分けるのがいいと思います。
XPPen Artist 22 Plus 液晶ペンタブレット 総合評価
上部のペンホルダーのおかげで、ペンを見失ったり置き場所に困ることなくデスク上をスッキリさせられるのも嬉しいポイントです。
Type-C1本で繋ぐ際、パススルーで電源供給までしてくれたらなお最高ですが、各所ユーザーに配慮された設計となっています。
所有欲を満たしてくれる、楽しい液晶タブレットなのは間違いないので、プロもアマチュアも初心者も玄人もぜひ試して欲しい製品です。
【総合評価】 | |
製品名 | XPPen Artist 22 Plus |
総合おすすめ度 | 4.7 |
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