昨今はスケジュールやタスク管理、ちょっとしたメモに至るまで、スマホやタブレットを用いて電子化している人も多いと思います。
ただそんな中、手書きの質感にこだわりたいとか、余分な機能はいらずメモ機能に特化させたいなど、手軽に使える電子ノートが注目を浴びています。
今回はそんなタブレットと電子ノートのいとこ取りをした電子メモパッド「Supernote Nomad(A6 X2)」のレビューをしていきます。
Contents
Supernote Nomad A6 X2 デジタル電子ノート インプレッション
様々なメーカーからリリースされている電子メモパッド。
価格はピンキリで、ただメモを書くだけのシンプルな機能のものからファイルの保存や転送が可能といった多機能なものまで多岐にわたります。
今回紹介する「Supernote Nomad」は完全に後者で、メモ帳、ノート、手帳、ToDo管理、スケッチブックなどはもちろん、直感的な操作とスタイリッシュなデザインが際立つハイスペックな電子ノートです。
デザイナーにはお馴染み、液タブペンタブ最大手Wacom社の技術を採用。書き心地にも追及し、手書きにこそこだわりたい人に特におすすめです。
旧モデルの「A6 X」、10インチサイズの「A5 X」も人気でしたが、さらにバージョンアップした「A6 X2」は、ビジネスシーンだけだけでなく、学生や家族間のスケジュール管理やメモの共有、E Inkならではの視認性の良さ含め、Kindleの閲覧などにも最適の1台です。
- FeelWrite2自己回復フィルムによる自然な書き味
- 直感操作と豊富な機能、幅広い互換性と拡張性
- 選べる個性的なスタイラスペン
- 価格の割に使用用途が限定的
- 拡張が地味に面倒
スペック紹介
Supernote Nomad A6 X2 7.8インチ デジタル電子ノート |
|
モデル | A6 X2 |
カラー | Wite/Crystal |
---|---|
ディスプレイ | 7.8インチモノクロ液晶ディスプレイ(LCD) E Ink Carta |
画面解像度 | 1872 x 1404(300dpi) |
スクリーンプロテクター | Feel Write 2 |
メモリ | 4GB RAM |
ストレージ | 32GB ※拡張可、最大2TB |
プロセッサ | クアッドコア1.8GHz |
バッテリーモデル | U236613PHV |
バッテリー容量 | 2700mAh |
OS | Android Chauvet ※Linuxでアップデート予定 |
Bluetooth | 5.0 |
接続ポート | USB Type-C |
サイズ | 191 x 139 x 6.9 mm |
重量 | 265g |
ハート・オブ・メタル(Gen 2)スタイラスペン ※本メディア内レビューモデル |
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材質 | 本体:真鍮※キャップ上部、バレルエンドの金属はカラーによって銀メッキ、合金メッキ、金メッキがあります グリップ:プラスチック ペン先:セラミック |
筆圧レベル | 4096 |
ペン先太さ | 直径0.7 mmtd> |
サイズ | 135.7 × 12.2 mm |
重量 | 32.5g |
Supernote Nomad用ヴィーガンレザーフォリオ ※本メディア内レビューモデル |
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材質 | 外側:シリコンレザー 内側:樹脂50%、ナイロン45%、カラーペースト添加物 |
筆圧レベル | 4096 |
サイズ | 197 × 296 mm |
重量 | 144g |
※取説・ショップページ・公式サイトから抜粋
Supernote Nomad A6 X2 実機レビュー
今回はRatta社より、ご提供いただいております。
「Supernote Nomad(A6 X2)」本体に加え、「ハート・オブ・メタル(Gen 2)スタイラスペン」と「Supernote Nomad用ヴィーガンレザーフォリオ」が同梱されています。
※本体カラーはスケルトンボディの「Crystal」、スタイラスペンは「エターナル」、フィリオは「ホワイト」です。
化粧箱・パッケージ
「Supernote Nomad(A6 X2)」は、ドイツデザイン評議会が主催しているデザインアワード『GERMAN DESIGN AWARD(ジャーマ ンデザインアワード)2024』文房具部門において金賞を受賞しています。
さすが環境配慮に関心の高いヨーロッパのアワードを受賞するだけあって、製品だけでなくパッケージからもその姿勢がうかがえます。
本体、スタイラスペン、フォリオ共通して、化粧箱に余計な配色がないシンプルなデザインとなっています。
因みに、取説も3者同様に日本語に対応しています。
あくまでもクイックマニュアルなので、詳しい解説が必要な場合は公式HPからマニュアルのダウンロードも可能です。
筐体・デザイン
Supernote A6 X2 Nomad
梱包も緩衝材なしの至ってシンプルなデザイン。
【パッケージ内容】
- Supernote A6 X2 × 1
- USB Type-Cケーブル × 1
- プラスドライバー × 1
- ユーザーマニュアル × 1
上記画像の通り、ディスプレイにフィルムが付いているものだと思いきや、消費電力ゼロのE Inkの特性を生かして仕様が表示維持されています。これぞ電子ペーパー!面白い!
表面は全体にフィルムが貼られており、ディスプレイとベゼルの際も凹凸や段差がなく、一面同じ質感となっています。
また物理ボタンはなく、スライド操作用のサイドバーが左右に配置されています。
今回のカラーは“Crystal”のため、裏面は内部が見えるスケルトン仕様。
拡張用のSDカードスロットや搭載バッテリーも視認できます。
上下にフォリオ(カバー)とドッキングさせるためのマグネット、上部に電源ボタン、USBポートが配置されています。
ハート・オブ・メタル(Gen 2)スタイラスペン
今回カラーを統一させたかったので、「エターナル(という名のホワイト)」を選んでいます。
専用スタイラスの中で「ハート・オブ・メタル(Gen 2)スタイラスペン」はカラーバリエーションが一番豊富で選ぶ楽しさもあります。
スタイラスペンは他にも「プッシュアップ・スタンダード・スタイラスペン」「LAMY AL-star EMRスタイラスペン」「LAMY safari twin EMRスタイラスペン」があり、形状や仕様が異なるのはもちろん、カラーバリエーションもいくつかあるので自分に合ったものが見つかるはずです。
本体は真鍮製とのことで、クラシックな高級万年筆からインスパイアされたデザインというのもうなずける重量感と高級感に仕上がっています。
キャップリングに刻印された"SUPERNOTE"も唯一無二感を演出しています。
グリップ部はツヤありの樹脂、ペン先はセラミック。
どの程度の筆圧に耐えられるかは不明ですが、ペン自体に沈み込みはなく0.7mmという細さでもしっかりした硬さがあります。
重量があるのでバランスが悪くなるような気もしますが、キャップは尻軸に収められるので、通常のペンと同様の感覚で使用できます。
Supernote Nomad用ヴィーガンレザーフォリオ
著者はApple信者ではないので普段は絶対にホワイトを選ぶことはないのですが、全体カラーを統一できそうなのが本製品だったためレザーフォリオを選択。
スタイラスペンのパッケージ同様、フォリオのパッケージの(謎)名言が気になりつつもサスティナブルな雰囲気のパッケージングです。
本記事執筆時、在庫はないようですがダークブルーのレザーフォリオもあるようです(汚れが気になるので個人的にはコチラが好み。在庫復活して欲しい)。
又キャンバス地のグレーのフォリオもシンプルで使い勝手がよさそうです。
内側は起毛タイプのクリーニングクロスのようなフワフワした質感です。
カード入れといったプラスアルファのギミックは特になく、フォリオ装着用のマグネットが2つ配置されているのみです(デュアルマグネット)。
ペンホルダーは大きめに設計されています。
フェイクレザーなので本革と全く同じ見た目と質感とまではいきませんが、高級感があります。
またツルサラ触感なので、何かこぼしたとしてもサッと拭きとれるためメンテナンス性は高いです。
ただし使い方にはよるものの、合皮ことPVC(ポリ塩化ビニール)素材は経年でパリパリになるのは確実。使用環境によっては、敢えてキャンバス地のフォリオを選んでおくのも賢い選択かもしれません。
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Supernote Nomad A6 X2 使用感・評価・感想
フォリオの開閉で自動でスリープモードのON/OFFが切り替わります。また任意の時間で自動スリープモードや自動シャットダウンの設定が可能です。
画像はシャットダウン時の表示ですが、起動して立ち上がるまで数10秒~かかります。
よく使うのであれば電源は入れっぱなしの方が使い勝手がよさそうです。
メモ帳、ノート、手帳、ToDo管理、スケッチブックなんでもこなす
「Supernote Nomad A6 X2」は、メモ帳、ノート、手帳、ToDo管理、スケッチブックなんでもこなせます。
少々値の張る高性能電子メモパッドなのでわかりきったこどですが、ペンタブのようなツールバーが備わっており、ペンの太さや種類、消しゴムツールやなげなわといった様々な機能が搭載。
思い思いにオリジナリティのあるメモを残すことが可能です。
また一番よく使うであろうメモ(ノート)機能には無数のテンプレートがあり、無地や単なる罫線、方眼(グリッド)、講義や会議などに役立つコーネル式など様々なものがあり、シーンごとにファイルでまとめることも可能です。
最近はスマホやタブレットで済ますことの多い、ToDo管理や予定(カレンダー)機能。
直接手書き入力ができるのでアナログ派にとって馴染みやすいだけでなく、GoogleやOutlookと同期可能なので、デジタル派にもかなり使い勝手がいいです。
※同期すると画像内右下の「イベント」部分に予定(内容や時間など)が記載されます。
機能豊富で想像力爆上がり
本機を触りだして1週間程度ですが「Supernote Nomad A6 X2」は、“直感操作が楽しい電子ノート”というのが率直な感想です。
例えば上画像の「なげなわツール」。ツールを選択後任意の箇所を囲うと、ズーム、回転、移動、コピー、切り取りなどが可能。
絵でも文字でも切り取った部分は、タイトルやキーワード、カレンダー、リンクなどに変換できるので、たった1ページのメモですら創造性膨らむメモを作成できます。
またツールバーの移動は上下左右任意の場所に移動できるので、利き腕関係なく使い勝手がいいのもメリットです。
左右サイドバーのスライド(上下)、画面スワイプやタップ、2本指での操作などジェスチャーによる直感操作も心地よく、スマホ操作に慣れた現代人向けにしっかりと設計されている印象です。
因みに文字の入力はQWERTYだけでなく、手書き認識にも対応しているため、Word内での手書き入力はもちろん、通常の手書きのメモ書きそのものも即座に認識(変換)してくれます。
認識されたメモは、そのままTXTやDOCXとしてエクスポート可能なので、多少字がヘタでも汚くても安心。
筆者の汚い字であっても、精度やレスポンスは優秀そのものです。
電子ペーパーやブラウザなどプラスアルファ機能も豊富
従来モデル同様、kindleにも対応しているので電子ペーパーとしての活用もできます。
但し本機は白黒の非発光型。目には優しく省電力設計のため、バックライトは搭載されておらず、暗所では使用できません。
その分炎天下でも視認性は良く室内屋外問わず利用できます。
上画像は当メディア内の1ページですが、画像の通りブラウザも閲覧可能です。
WiFi環境さえあれば、メモ帳やスケッチブック以外の使用用途としても活用できるため、幅広いニーズに答えてくれます。
現在はE Inkでもカラー対応していたり、動画再生可能といった実用性の高いモデルもいくつか出ています。
本機にて試しに動画再生してみたところ、当然音声の出力はなく再生は可能なものの、残像は残りかなりもたつきます。
ブラウジングも広告や色が多いと表示の遅延やもっさりした挙動となるので、あくまでもプラスアルファ機能といったところです。
そして同WiFi環境下限定ではあるものの、ミラーリングにも対応。
通常使用でも縦横自由フレキシブルに使えますが、ミラーリング時もリアルタイムで縦横の表示切替をしてくれます。
本機はPDFにも対応しているので、会議や講義にも活用しやすそうです。
ペーパーライクな程よい引っ掛かりと即座なレスポンス
気になる書き心地はというと、触れ込み通り“紙に書いているような書き味”というのが妥当ですが、むしろ紙より書きやすく感じます。
FeelWrite2自己回復フィルムの恩恵は確かに感じられ、ペンタブレットのようなツルツルした感触ではなく、適度な引っかかりがいい塩梅となっています。
ペン自体に沈み込み機能ははなく、フィルム自体が沈み込むことでこの書き心地が実現できているのだと思います。
またスマホやタブレットの場合、皮脂汚れや指紋汚れなども気になりますが、ディスプレイがザラザラしているおかげで保護フィルムの必要もなくそのまま使えます。(対応保護フィルムがそもそもないと思います)
電池不要のスタイラスペンは昨今のペンタブと共通である一方、先述の通りペン先は沈み込みなし。
替え芯が必要かと思いきや、スクリーン自体が沈み込む設計となっているため、芯への負担(劣化)が少なく、長寿命(交換不要)となっています。
一部LAMY製のスタイラスやボールペンと切替機構が備わったモデルもありますが、全てペン先はセラミック製で硬めな印象。
また実際に書く際にはペンの太さを変えられるのはもちろん、ボールペン、インクペン、マーカーから使い分けできます。
プリインストールされている「Atelier」というスケッチアプリ上では、鉛筆(4H~8B)やエアブラシなども使え、よりクリエイティブな作業も楽しめます。
持ち運びしやすい軽量設計
従来モデル(A6 X)から様々な部分でブラッシュアップされている「A6 X2」ですが、実は10g程度重くなっています。※画像はペンもフォリオも装着した状態
とはいえ本体のみなら重量はたったの265g。充分軽量設計です。
普段使いしていた手帳が上画像の通り500gを超えていたので持ち運びは苦になりません。
iPadは本体だけで500g近いことを考えれば、全てセットで500gを余裕で切る「Supernote Nomad A6 X2」は、ポータブルな1台と言えそうです。
電池残量が気にならないバッテリー持ち
さすがE Ink技術搭載モノクロ液晶ディスプレイ。言わずもがな数日間充電いらずの省電力設計です。
前述の重量の兼ね合いかは不明ですが、実は「A6 X2」は従来モデル(A6 X)よりバッテリー容量が200mAh減っています。
同じOSのため、連続運転時間はわずかながら減っているのではないかという懸念はあるものの、メモリやプロセッサはアップグレードされていることから、従来モデルよりバッテリー持ちも効率化されているのではないかと思います。
あくまでも筆者自身の個人的な体感ですが、1日1~2時間使用なら2週間程度は余裕で持っています。
使用環境や設定、使用頻度によって長くも短くもなるとはいえ、毎日充電の呪縛からは確実に解放されます。
気になった点・注意したほうがいい点
アナログ手帳から「Supernote Nomad A6 X2」をメインの手帳として使いだしたところ、その汎用性の高さに驚くばかりで、今や手放せないほど気に入っています。
正直不満点はないものの、いくつか気になったことがあるので紹介しておきます。※今後さらに気になることがあれば追記していきます。
Android Chauvetのセキュリティやバグ修正、サポート面
「Supernote Nomad A6 X2」のOSは『Android Chauvet』。
ChauvetはAndroid8ベースとの話もあり、システム上の懸念に加え、一部デフォルトでプリインストールされているアプリやGoogleやAmazon(kindle)などと同期できる端末なだけに、サポートやセキュリティ面の不安は残ります。
ましてや電子ノートはビジネス等で活用することが多く、社内機密やプライバシーな内容を保存することも多々あるはずです。
公式によれば将来的には、Linuxベースのシステムをコミュニティで公開予定とのことなので、期待したいところです。
指紋認証機能はないものの、スクリーンロックやファイルのパスワード設定など物理的なセキュリティをかけることは可能です。
拡張必要or不必要
本機はサスティナブル(持続可能な)が売りの製品です。
バッテリーやマザーボードの交換までもユーザー自身で行えるため、ガジェットとしては珍しく長寿命で恒久的に使えます。
素晴らしいことである一方、その交換方法が人によっては決して簡単とは言い難いです。
左右合わせて14個のネジと、マグネット部分上下4個のネジ、さらには内部のネジ全てとリボンケーブルコネクタを外すなどの作業が必要です。
正直SDカードの拡張ですらも地味に面倒なので、そのまま使いたいユーザーの方が多いのではないでしょうか。
32GBあれば充分と捉えるか、拡張が必要かはユーザー次第。
高性能な電子ペーパーでは比較的一般的なストレージ容量といえるものの、個人的には最初からもう少し余裕をもってくれたほうがありがたいです。
また筐体自体は樹脂製で案外タフですが、ビス止めしているだけでパッキン等の処置はなく、防水性は低そうなので水濡れには注意したいところです。
Supernote Nomad A6 X2 デジタル電子ノート 総合評価
タブレットと比較して使用用途は限定的であるにもかかわらず、価格はそれなりにするため、ある種ユーザーを選ぶ製品です。
実際、タブレットさえあれば電子ノートで出来ることは大概まかなえてしまいます。
とはいえ使ってみると、「Supernote」はその便利さだけでなくワクワクするような想像体験をさせてくれます。
長年手帳だけはアナログ派の筆者でしたが、これを機に「Supernote Nomad」ライフしていきます。
【総合評価】 | |
製品名 | Supernote A6 X2 |
総合おすすめ度 | 4.9 |