※メーカーよりサンプル提供
現在は100円ショップやホームセンターはじめ、資材の入手がしやすくなり、DIYが趣味という人も決して珍しくありません。
SNS上でも、趣味が高じてプロ並みの施工をしている人を良く見かけます。
そこで確実に必要になってくるのが、電動ドリルやインパクトドライバーです。
今回は、DIYや本格施工、その他様々な用途に使える約1万円のコードレスインパクトドライバー、「KIMO QM-3601B」のレビューをしていきます。
Contents
KIMO コードレスインパクトドライバー 20V QM-3601B インプレッション
いきなりですが、20Vのブラシレスインパクトドライバーが1万円前後で買えてしまう時代…おそろしや…。
国内の有名かつプロ御用達電動工具メーカーといえば、やはり天下の「マキタ」。加えて近いシェアを誇る「HiKOKI(旧日立工機)」や、次いで「パナソニック」、「リョービ」などがあります。
さらには国内でも数多く流通している海外製のブランド「BOSCH(ボッシュ)」、「StanleyBlack&Decker(スタンレーブラックアンドデッカー)」など、様々なメーカーが存在します。
そして今回紹介するのは、国内ではほぼ無名ながら、Amazonなど多くのショッピングサイトで見かけるようになった、数多ある中国の電動工具メーカー「KIMO」社の製品です。
KIMOは、1998年に設立の「永康市奇磨电动工具有限公司」という会社のブランドで、中国は永康市天海工業区に拠点を置く、比較的歴史の浅い電動工具メーカーです。
KIMOブランドは、中国国内ではQIMO(奇磨)として流通しているようですが、現在は公式サイトにアクセスが出来ず、今後の展開も不明です。
下記は公式へのリンクよウホ!
既にネット上でも賛否あり、性能の誇大表記や安全性への懸念なども言われていますが、プロアマ問わず、
パワーは充分でDIYはじめ日曜大工レベルなら何ら問題なく使える
というのが概ねのレビュー評価のようです。
レビュー数も多いため、サクラチェッカーを使って調べてみたものの、そこまで怪しげな点もなく、ベストセラーのブロワーをはじめ、電動ドライバー、ノコギリ、ポリッシャーなどその他の工具のラインナップも充実しています。
メーカーにこだわらないコスパ重視派の方はチェックです!
スペック紹介
KIMO コードレスインパクトドライバー | |
モデル(型番) | QM-3601B |
カラー | グリーン |
材質 | - ※記載なし |
電圧 | 20V |
充電時間 | 60分 |
バッテリー寿命 (充放電サイクル回数) | >500回 ※500回で60%まで減少 |
無負荷回転速度 | 低速:0-1600rpm / 中速:高速:0-2100rpm / 0-2800rpm |
打撃数 | 低速:0-2100bpm / 中速:高速:0-2600bpm / 0-3300bpm |
最大トルク | 300N.m |
寸法 | 7.5 × 21 × 14cm |
バッテリー重量 | 0.4kg |
本体重量 | 1kg |
製品の特徴・概要
国内有名メーカーの同等機能の製品だと、バッテリー込みの価格は約2倍以上がほとんど。著者もMakita、HiKOKI(旧日立)、Panasonic製のインパクトは使用経験はあるものの、中華製を使うのは今回初めてなので、少しワクワクしています。
本製品に限らず、大手ショッピングサイトは無名ブランドが立ち並ぶカオス状態というのが常ですが、安価な海外製電動工具メーカーが、ここ数年でみるみる増え、似たような価格帯で売られています。
代理店なり商社が、KIMOブランドをリリースしたタイミング、もしくは販促がうまかったのかどうかは不明ですが、とりわけ国内だけでなく国外でも比較的高評価を得ているようです。
「KIMO QM-3601B」の大きな特徴は、
- 無段変速・正逆転・安全ロック機能搭載
- ブラシレスモーター採用で動力安定性、薄型軽量化、メンテナンスフリー
- 最大トルク300N・mのハイパワー
です。
言わずもがな、充電式のインパクトドライバーなので、コードレスであったり、バッテリー・本体ともにLEDを搭載していたりと、このあたりも他社製と比べて遜色ありません。
加えて、ビットやソケット類、充電器もセットとなっており、大陸製らしい豊富な付属品も魅力です。
現在は互換バッテリーが購入できないため、やや不安感はぬぐえないものの、常に供給できる体制が整っていれば、KIMO工具一式そろえてみるのもいいかもしれませんね。※2020年11月現在
- 約1万円のオールインワンパッケージ
- ブラシレスモーター採用省エネ設計
- 最大トルク300N・mのハイパワー
- 国内メーカーに比べ初動が遅くややもっさり
- 国内メーカーに比べ回転に少しブレがある
KIMO コードレスインパクトドライバー 20V QM-3601B 実機レビュー・評価・感想
化粧箱はかなり質素でシンプルなものですが、国内向けに作ってくれているだけで信用度がグッと増します。
また、バッテリーを扱う以上、丸形のPSEですが国内ルールに積極的に従ってくれているのも好感が持てますね。
では開封から始めていきます。
AmazonKIMO公式
化粧箱・パッケージ
化粧箱というより、今回は工具ツールなのでケースですね。
収納ケースは武骨でワイルドなデザインながら、緑一色に白字が書かれているシンプルなもの。
正直樹脂と相まって安っぽさはあるものの、個人的には結構好きなデザインです。
ただし蓋の留め具(ラッチ)は小さめで締め付けは弱く、やや貧相ですぐ破損しそうです。
蓋上面には、ビットやソケット類、その他工具が収納できるように凹凸を作ってくれています。
ケースはバッテリー×2、充電器、インパクト本体が収まる形状となっています。
ただ固定されているわけではないので、バッテリーがひとつだと持った際に下側へ動いたり、揺らすとカタカタします。
加えて、バッテリーやフック※ベルトなどに引っ掛けるフックを付けたままだと収納できません。
【パッケージ内容】
-
QM-3601B本体 *1
-
充電アダプター * 1
- バッテリー * 1
- ビット * 6
- ソケット * 4
- インパクトフック * 1
- 取扱説明書・保証書他 * 各1
マニュアルは完全日本語対応です。
これは売れるよな…と取説の作りこみを見て再認識。機械翻訳のようなおかしな日本語もなく、フォントも不自然さはありません。
「KIMO」ブランド販路拡大の意気込みと気合を感じます。
筐体・デザイン
QM-3601B本体
全体的な配色はHiKOKIっぽいカラーリングで重量も軽く、持ちやすいです。
ただ筐体は樹脂感が強くプラスチッキー。グリップ部分の滑り止めも他社製と比べ申し訳程度です。
この辺りはコストカットなのか、やや中途半端感が否めません。
先端のスリーブからプロテクターにかけては金属が使われていて、耐久性も問題なさそうです。
また、トリガーは手にフィットして引きやすいです。トリガーすぐ上に、手元用のLEDをひとつ搭載。
左側面に"KIMO"のブランドロゴを配置。
正逆転切替レバー(スイッチ)も、他社製と変わらない配置、押し心地となっています。
右側面に仕様が記載。
輸入販売元は、以前レビューした「Lepow 15.6インチ FHD モバイルモニター Z1」と同じ2019年設立の日本法人(神奈川県横浜市金沢区)『Testing Center Technology Japan合同会社』です。
ガイドスリーブ、スリーブホルダーは金属製。作りに雑さはなく、スプリングでしっかり戻るようになっていて不安感はありません。
本体重量は公称より少し軽い987g。
公称が1kgとなっているので誤差範囲といえばその通りですが、このあたりの適当さは中華メーカーらしいですね。
QM-3601B用バッテリー
同梱バッテリーは20V2Ah、KIMO製品の中で拡張できる専用バッテリーです。
他社との互換性はないと言いたいところですが「VOLTAGA」というブランドとは互換性があるようです。※自己責任でお願いします
とはいえ純正ではない以上、バッテリーは追加購入しておきたいところ。
しかしながら、ここのところ在庫切れ中…。公式サイトも閉鎖しているので何やら怪しい予感…は正直あります。
配色はインパクト本体と同じ、グリーンとブラック。
接続端子は非常に簡素ですが、薄型、軽量化されていて全体的な作りや質感も悪くない印象です。
最初からついている小傷はご愛嬌として、ラベルには型番の記載もなく、“リチウム電池”としか書かれていない質素なもの。
ラベルには2020年製と明記されてはいるものの、「ラベルだけ2020年製?」と邪推してしまったので、念のためバラしてみました。(というか中華メーカー問はず、国内企業であっても在庫商売ではこういったことはザラなのでw)
中身もバッチリ2020年製で一安心。
というより、基盤のことは全く分かってませんが、思いの他作りがしっかりしていて嬉しい驚きです。
※当然国内メーカーのバッテリーと比べると全体的に作りは簡素ですw
そして背面部分に、4段階表示の電池残量LEDランプを搭載。
最近はバッテリー自体に、バッテリー残量表示機能を搭載したモデルが増えてきていますが、未だ未搭載も多いです。機能的には他社製と比べても見劣りしません。
バッテリーの重量も、公称400gより軽い371g。
軽いのはいいことですが、さすがにこれは誤差とはいいがたいので、メーカー(販売元)にはもう少し丁寧な仕事を期待します。
充電器
充電器は、びっくりするぐらい軽量で、かなり安っぽいおもちゃのようなデザイン、質感です。
接続端子はプラスマイナスが2本むき出しとなっています。
バッテリーをスライドさせて着脱させるのは他社製と同じ機構です。
充電器の型番は「JLH252101500P」。
急速充電機能はなく、公称によれば60分でフル充電となります。
一点残念だったのが、コンセントプラグ。手で戻せばいいだけなのでそこまで気にしていないものの、新品でこの状態になっているのはさすがにいただけません。
大手家電メーカーでもごくたまにありますが、本製品に至ってはひっかき傷等最初からかなり多かった(ケースにあそびがあり過ぎて傷がついた可能性大)ため、品質管理のずさんさを想像せずにはいられません。
付属品(ビット、ソケット、フック)
付属のビットは、フィリップスのプラスドライバービット2本(CR-VPH1・CR-VPH2)、マイナスドライバービット2本(CR-V5・CR-V6)、ポジドライブ2本(CR-VPZ1・CR-VPZ2)。ソケットは6mm、8mm、10mm、12mmです。
個人的にはポジドライブネジを使う機会がないので、代わりにトルクスドライバービットが付いてきてくれた方がありがたいですが、IKEAなんかもポジドライブを採用しているので案外使う機会はあるかもしれません。
何にせよ、本体が安くて付属品が充実しているのも、やはり中国製の魅力です。
KIMO コードレスインパクトドライバー 20V QM-3601B 使用感
デザイン面ではやや粗さが目立ったものの、価格から言えば全く持って及第点。ブラシレスのおかげか、ヘッド部分も短く静音設計で、よく作られていると思います。
インパクトはデザインより機能。現場で使う以上傷や汚れが付くのは当たり前。耐久性や拡張性、とにかくフレキシブルに使えればいいんです。
ただ注意したいのがその重さ。
国内メーカーには、女性や子供が扱いやすい小型ヘッド&スリムなグリップといった、パワフルなモデルがあります。
同等の重量のモデルを比べると本モデルは大きく重い割にややパワー負けしている節はあります。
そんな視点で実際の使用感をレビューしていきます。
近いうちに動画でも使用感を紹介する予定です。こうご期待!
DIYを含めた木工事における充分過ぎるパワー
マキタなどに比べると、初動が遅くもっさり感は否めませんが、レスポンスよくきびきびと動いてくれます。
遅いというよりトリガーを引いた瞬間に一瞬ラグがあるといった感じなので、日曜大工程度なら何ら問題なく使えます。100mm以上のコースレッドも余裕で入っていきます。
「KIMO QM-3601B」を実際に使ってみて、ほんの少し気になったことといえば、ヘッドとグリップに角度がついていることぐらいでしょうか。
他社製の場合、ヘッドとグリップは90°に近く、地面に置いた際ヘッドは地面と平行になるものが多いです。
「KIMO QM-3601B」では、少し角度がついているため、国内ブランドに慣れていると少し違和感を覚えます。
ドリルビットは2.5mmと細く、コンパネ(合板)なので厚さもなく柔らかいので当然ですが、試しに穴あけしてみたところ一瞬で貫通しました。
ビットを変えて金属も同様に試してみましたが、難なく穴あけ出来ています。
またビスは短いですが、蝶番の取付も難なく終了。
1時間ぐらい作業をしてみて、ヘッドも短くて使い勝手も悪くない印象です。
手元照射用のライトは適度な明るさで、ある程度の暗所作業もこなせます。
ビット先端より少し下を照射するイメージですが、使用するビットやソケットによって、多少長さが変わってくるので対応可能でしょう。
パワーもさることながら、スピードコントロールや無段変速機能も搭載しているので、繊細な作業や不慣れな方でも安心して使えます。
チープさが逆に個性的な各所のLED
「KIMO QM-3601B」は各所にLEDが搭載されています。
メーカーによっては手元用のライトが2個、4個のモデルもあります。本製品は1発のみとなっているものの、前述の通り暗所作業はこれひとつで充分事足ります。
筐体の章で解説しませんでしたが、「KIMO QM-3601B」は回転数や打撃数の速度切り替えが可能です。
モード切替は、弱、中、強の3パターンで、本体のバッテリーソケット部分中央に配置。
また画像の通り、LED内蔵なので簡素ながら一目でどのモードになっているのか確認できます。
LEDはそれだけではありません。バッテリーにも搭載されています。
今の時代普通なら色分けせず、単色でレベルゲージ風に見せるところを、敢えておもちゃ感満載の色分け表示です(誉め言葉)。
このチープさが何とも言えず、どこか懐かしさを覚えます。
ランプ | 表示内容 |
赤点滅 | バッテリー残量約0~20% |
赤点灯 | バッテリー残量約20~40% |
赤・黄点灯 | バッテリー残量約40~60% |
赤・黄・緑点灯 | バッテリー残量約60~80% |
赤・黄・緑・青点灯 | バッテリー残量約80~100% |
LEDは充電器にも搭載されていて、赤点滅→赤点灯→緑へと変わっていきます。
公称は60分となっていましたが、もう少しかかる印象。ざっくり1時間半ぐらいみておけばフル充電が完了しているイメージです。
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Makitaとのバッテリー比較
出力も異なるため、比較対象にはなりませんが、手元にちょうどマキタのバッテリーがあったので、サイズや作りの簡易比較をしていきます。
マキタ製の「DC10SA」は、急速充電に対応しているということもあり、おもちゃ感はなく作りもしっかりしています。
高いだけのことはあるわねウホウホ!
10.8V用なのでより小さく軽いのは仕方がないにしても、マキタは端子部分も精巧に作られているのがよくわかります。
気になった点・注意したほうがいい点
中華ブランドらしい突っ込みどころ満載のずさんさ、初動のもっさり感、謎の角度など既に気になったことのほかに、注意点として挙げておきたいのが、
回転の軸がブレてバタバタしやすい
ような気がします。
角度が付いているせいで垂直に押し込めていないだけなのか、パワーがあり過ぎてそうなるのかは不明ですが、最後の押し込みの際少しバタつくような気がします。
あくまでも他社と比べてなので、施工に不便なわけではなく、著者がハイスピードで試しているせいもありますし、本製品のクセに慣れていないだけとも言えます。
また、ショップ注意事項に、“本製品は自動車のホイールナットに対応できません。”と記載があるように、300Nmのトルクがあるにもかかわらず、トルクレンチとしては使うことができません。
つまりこれは完全に誇大表記。実際は130Nm前後とのことです。
実際に海外のレビュアーさんなどもかなり詳しく解説してくれています。国内でもトルクを調べてくれているチャネルを見つけたので張り付けておきます。
KIMO コードレスインパクトドライバー 20V QM-3601B 総合評価
耐久性に難があれば追記しますが、概ね満足どころか普通におすすめです。
レビューでバッテリー1個プレゼントなど、中華ブランドが良くやる常套手段を使っていたようですがそれらを鑑みても製品自体は価格以上のコスパ力があります。
バッテリーを付けたままケースへの収納不可、フックを付けると収納不可、互換バッテリーがネットのみ(しかもタイミング次第で在庫なし)、サポート対応がメールのみなど、痒いところに全く手が届いていない中華らしさを許せるなら、DIYの第一歩としておすすめです。
逆にこれらひとつでも許容できないなら素直に国内ブランドをチョイスするのが無難。
著者はこれからゴリゴリ負荷をかけまくって使っていきます!
【総合評価】 | |
製品名 | KIMO Impact Driver QM-3601B |
総合おすすめ度 | 3.9 |