IEMことイヤモニといえば高価な印象がありますが、KZやCCZ、以前紹介したTRNなど、低価格で高品質な中華モデルは、いわずもがな市場にあふれています。
今回はそんな大陸製ブランドのひとつ、Whizzer社のサブブランド「Opera Factory OS1Pro」のレビューをしていきます。
Contents
Opera Factory OS1Pro インプレッション
「Opera Factory」 は、Whizzer社の低価格ラインのブランドです。以前「Opera Factory OS1(Junior)」というモデルを発売しており、今回の「OS1Pro」はその後継機となります。
AliExpress他様々な媒体で購入可能ですが、販売は本家『Opera Factory』や、KZやCCZといった大陸製イヤホンを扱う『YINYOO』が担い、国内版Amazonでも扱われています。
また「Opera Factory」 と同じ、廉価イヤホンを多く扱う「KBEAR」との関連ですが、KBEARとWhizzerが共同販売しているため、本機は「KBEAR」ブランドとしても扱われているようです。
「Opera Factory OS1Pro」は、
- 見た目のインパクトとウォームな音質
が好みなら、検討したい製品です。
3,000円以下(2,000円台)という価格的なメリットは言うまでもありませんが、新開発の13.6mmグラフェンダイナミックドライバーを搭載し、リケーブル未対応だった先代機より利便性が向上した本モデル。※ショップページのドライバーサイズは10mm、取説には13.6mmと記載
有線の安価なイヤモニのひとつとして、ぜひチェックしてみてください。
スペック紹介
Opera Factory OS1Pro | |
MODEL | OS1Pro |
---|---|
カラー | ホワイト/ブラック/サンドベージュ/ミントグリーン |
ドライバー | 13.6mmシングルダイナミックドライバー |
イヤホンタイプ | IEM(カナル型) |
インピーダンス | 18Ω |
音圧レベル | 102dB/mw @1.0KHz |
最大出力 | 100mW |
周波数特性 | 20Hz~40KHz |
ケーブル長 | 1.2m/OFC |
プラグ径 | 3.5mm |
マイク | 感度:-42db タイプ:キャパシティブタイプ マイク特性:無指向性 |
重量 | 約22g(イヤホンのみ: 約7g)※実測値 |
製品の特徴・概要
特徴は、
- 13.6mmグラファイトダイヤフラムダイナミックドライバー搭載
- リケーブル可能な0.78mm 2pinコネクタ採用
- インパクト抜群のダイヤモンドカットラメ入り樹脂筐体
- 最大30dBまで遮断する遮音性
などです。
前述の通り、ドライバーサイズはショップページでは10mmとなっていますが、取説では13.6mmと表記されていたので、こちらを採用しています。
ただショップも10mmと謳っていますし、もしかしたら「OS1」との違いは、リケーブル可能か否かだけかもしれません。
ですが、低価格帯でもリケーブル可能なモデルが数多あるのは中華モデルのだいご味でもあり、最大のメリットです。
また低価格帯中華イヤホンでポピュラーなものといえば、音域のカバーをし合う1BA+1DDのハイブリッドモデル。
それをあえて片側1基のシングルダイナミックドライバを採用しているところを見ると、先代機含めやはり音質に自信があるといえます。
金色のラメが入り、カラバリはブラック単色と赤/青2色のスケルトンな樹脂のシェルをまとい、ケーブルは5NOFC(無酸素銅)撚り線を採用した発色のいい赤色。
どちらかというと見た目のインパクト重視モデルにも見えますが、海外での販売実績を見ても、堅実な作りでこだわりが詰まっているのがわかります。
3,000円以下(2,000円台)という価格含め、納得のクオリティと思えるはずです。
Opera Factory OS1Pro 実機レビュー・評価・感想
カラーはブラックとレッド/ブルーの2種展開。
今回はレッド/ブルー、マイク付きのモデルとなります。
化粧箱・パッケージ
化粧箱は中華らしいといえば中華らしいパッケージデザインで、2,000円台とは思えないほどしっかりと作りこまれています。
筐体サイズに比べ過剰梱包気味ではあるものの、化粧箱にも印字されている「Opera Factry」のロゴが入ったスポンジで、ガッチリ守られています。
【パッケージ内容】
- OS1Pro × 1セット
- マイク付き3.5mmプラグ2ピンケーブル× 1
- イヤーピースS,M,L × 各1セット
- 保証書 × 1
- ユーザーマニュアル × 1
取説は、中国語と英語のバイリンガル仕様です。
筐体・デザイン
イヤホン・ケーブル
ハウジングからステムノズルまでオール樹脂製。
筐体全体にゴールドのラメが用いられているだけでなく、シェル部分はダイヤモンドカットが施されており、見た目の主張が強い分チープさは不思議と感じません。
なぜか右側(青)にのみ、ベント(穴)があります。
当初は排圧機構は設けていないのかと思いましたが、片側にベントが開いていないのは意図的なのでしょうか。設計不良の可能性も、もしかしたらあるかもしれません。※左耳だけイヤホン装着時排圧出来ていないようで毎回「ペコ」っと鳴る(涙)
よく見ると排圧部分はチューブ状になっており、ここ(シェル側のゴールドの留め具部分のすぐ近く)が排圧コントロールを担っているようです。
本カラーの場合、青が右、赤が左とわかりやすい仕様ですが、内側にもL/Rの印字がされています。
印字は少し見づらいので、カラーで覚えておくのがよさそうです。筐体カラーがブラックならもう少し見やすいはず。
スケルトン筐体なので、1DDなのが容易に見て取れますね。1DDでドライバーサイズも大きいこともあり、ドライバーユニットとハウジングの間は充分な音響スペースが確保されています。
内側にはベントポートはなく、遮音性に重きを置いているのかもしれません。
画像は付属のイヤーピースとケーブルを付けた状態。
ケーブルには左右間違いのないよう朱点を付けていることから、マニア向けというより一般層向けのイヤホンという立ち位置なのが想像できます(筆者も左右、±のピンをよく間違える)。
イヤーピースは凡庸な単一素材ではなく、装着感も期待できる2種類の硬度のシリコン製ハイブリッドイヤーピースを採用しています。
ケーブルは、KZ Type-C 2pin仕様のマイク付きケーブルで、シュア掛け用に癖付けされています。
赤の被膜をまとった撚り線で、無酸素銅(OFC)線を採用しているとのことで、色の主張は強いですが、しなやかで質感は悪くないです。
プラグ形状はL型の3.5mm、金メッキが施されています。
マイク兼コントローラー(といっていいのかわかりませんが)は、着信用のボタンのみのシンプルなもの。
因みにマイクの指向性は無指向性です。
小数点は切り上げられてしまっていますが、イヤホンのみで約7g、ケーブルと合わせて約22gです。
シングルダイナミックドライバーであることと、樹脂筐体の強みがわかる軽量設計です。
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Opera Factory OS1Pro 使用感
今回手元にある6BA+1DDハイブリッドドライバー採用の「TRN VX」とも聴き比べてみました。
CCZやKZに代表されるように、廉価中華モデルは1BA+1DDのハイブリッドドライバーを採用しているモデルも多いですが、足りない音域を補うメリットはあるものの、音がごちゃつくデメリットもあります。
とはいえ、今回の「OS1Pro」は片耳シングルのモデル。音質はもちろんのこと、ドライバー自体のクオリティが問われます。
TRNとは価格帯も異なるため、明らかな音質の差はあるものの、これらを踏まえてレビューしていきます。
音質:高音と低音が強調されたややドンシャリ寄りのウォームサウンド
※確認!
音質はデバイスの搭載チップや使用している音楽ソフトなど、環境、端末によって異なります。また、デバイスとの相性だけでなく、趣向性、聴き手の好みにも左右されます。
当サイトでは、複数の端末でチェックしていますが、あくまでも個人の感想で、エージングまでは行っていません。20時間程度の視聴ですので、あらかじめご了承ください。(しばらく使って変化があれば追記します!)
グラフェンコーティングにより高音が引き締まり、もっと寒色寄りのサウンドになるのかと思いきや、音質は至って暖色寄り。第一印象は重めです。
箱出し時点では、低音がやや暴れ気味でしたが、聴いているうちに低音も安定し、ウォームではあるものの、高音域も適度な煌びやかさがあり、そこまで強いドンシャリ感のないまとまとまりのある音質です。
高音域は、グラフェン振動板の恩恵なのか硬質さは感じられ、女性ボーカルやシンバルなども刺さるような不快感はなく比較的綺麗に響きます。
ただ前述の通り全体的に重めで、籠ることはないものの、高音は伸びが少し弱い印象。
中音域は、比較的しっかりと主張してくれ、男女問わずボーカルの声も近くで感じられます。
Opera Factoryの音質傾向なのかもしれませんが、ウォームなためどうしてもフラッグシップモデルや多ドラなどに比べ、キレが弱く解像度が低い印象です。
低音域は、キレがありこもることなく締りがあり、音数が多いジャンルのベースやドラムもしっかりと追うことができます。
響きや広がりはありながらも、量感も適度で、高音~中音域の邪魔をしていません。
「OS1Pro」は、中華IEMとしては価格なりとも言えますが、中華モデルのクオリティが高いため、充分おすすめできるイヤホンです。音場も程よく感じられ、無理なくまとまっています。
本機は、いわゆるドンシャリタイプのイヤホンです。
様々なジャンルの楽曲を聴いてみたところ、全体的に奥行きや臨場感はやや物足りず。TRNと比べるとキレも解像度も情報量も弱い印象で、特にクラシックでは音場の広がりを拾い切れていません。
またどんなジャンルでも音量を上げれば上げるほど伸びがなく、歪みやぼわつきを顕著に感じます。
言い方は少し悪いですが、何も考えずごまかしの効く音源(あるいは通勤通学、エクササイズ等、ながら)に最適なイヤホンです。
見た目含めインパクト重視のイヤホンなので、音数が多く低音がパワフルでノリノリになれる、ポップスやロックやEDM、またはゲーム用といった、迫力を求めるジャンルとの相性がよさそうです。
通話品質は良好です。
喧騒の中での使用はできていませんが、リモートワークでは何ら問題なく使えています。
遮音性に関しても、充分高いと思います。
当然イヤモニである以上、密閉性は確保されているため、外の音は聞こえづらくなりますし、ボリュームを上げなければ外に漏れることはありません。(意図的かもしれませんが筆者の筐体は片側はベント穴ないですし…)
とはいえ樹脂筐体であることや、1DDであることを踏まえると、音量次第では普通に漏れるので、ぴったりフィットするイヤーピースを別途用意しておくのがいいかもしれません。
他にはないインパクト抜群のデザイン
以前紹介したスウェディッシュTWSイヤホン「Sudio T2」は、シンプルでミニマルなデザインが特徴的でしたが、今回の「Opera Factory OS1Pro」は、その真逆をいくアグレッシブなデザイン。
良く言えば斬新、悪く言えば陳腐。
陳腐というと悪く聞こえますが、派手なもの好きならむしろテンションが上がるデザインだと思います。
ゴールドのラメとダイヤモンドカットが施されたシェルは、見る角度によって変化があり楽しませてくれます。
若干おもちゃ的な意味合いも含まれますが、現に4歳の子供が「キレイwカワイイw」と目を輝かせていました。
ただ逆に言うと、ケーブル色も赤で見た目のインパクトが強烈なので、ミニマル好きにとっては難色を示すデザインと言えそうです。
因みに装着感は良好で、可もなく不可もなく。
筆者の耳には、癖付けされたケーブルも適度なカーブで、ステムノズルも適度なサイズ感です。
筆者は付属のイヤーピースSサイズが最適でしたが、リケーブルやイヤピの変更で、また違った表情を見せてくれるかもしれません。
気になった点・注意したほうがいい点
中華有線イヤホンは、ハイブリッドモデルも大概何かしらのクーポンがあり、1000円台で購入出来てしまうわけのわからない市場(誉め言葉)。中華廉価有線イヤホンでシングルドライバー1基モデルは初体験でしたが、予想以上のクオリティでした。
しかし音質は傾向こそ違うものの、市場全体で見れば、競合が多く価格相応とも言えます。
ただこれは、中華イヤホンのクオリティが全体的に高いからに過ぎず、下手に万越えする国産ないし海外メーカーのシングルドライバー搭載モデルをチョイスするより、“コスパ”という面では圧倒的に優れていると感じます。
前述の通り注意点を上げるとすれば、
- デザインの好みがハッキリと分かれる
この1点につきます。
幸いベント穴の有無による違いを著者のバカ耳ではわかりませんでしたが、とにかく装着するのを躊躇するほど主張の強いデザインです。
筆者は派手好きなので比較的好きな方ではあるものの、もし街中で装着している人がいたら恐らく二度見してしまいます。
Opera Factory OS1Pro 総合評価
「Opera Factory OS1Pro」は、低音はしっかりしながらも、中高音域まで柔らかく優しい音の広がりを見せてくれます。
見た目こそアグレッシブですが、音質はむしろ逆で、暖かみのある音質です。
流行りのクリアで解像度押し出しではなく、ウォームな音質にて幅広いジャンルの曲をぼーっと聴くための1台として、試してみてはいかがでしょうか。
【総合評価】 | |
製品名 | Opera Factory OS1Pro(KBEAR) |
総合おすすめ度 | 4.0 |