中華ブランドが常にあふれるイヤホン市場。
現在はお手頃価格の廉価モデルであっても、“ノイズキャンセリング機能搭載”というのは、ごく当たり前の機能となっています。
しかしノイキャンを謳いながらも、実はENC(Environment Noise Cancellation)のみで、それらをあたかもANC(アクティブノイズキャンセリング)に見せかけている製品が多かったりするのもまた事実。
今回は、COOUMIブランドから3,000円台という低価格帯でリリースされている、正真正銘のANC対応モデル「COUMI Freedom Dots(ANC-861)」をレビューしていきます。
Contents
COUMI Freedom Dots ANC-861 ワイヤレスイヤホン インプレッション
COUMIは『家電批評』5月号にて、“いま欲しい「安くて良い家電」”の【格安ノイキャン完全ワイヤレス部門】にて、ベストバイを受賞した「COUMI ANC-860」などを扱う、オーディオ機器ブランドです。
今回の「COUMI ANC-861」は、全く異なる筐体デザインながら、型番からしても上記モデルの後継機種と言えます。
ただリリース時の価格は、さらにお手頃の3,000円台。※現在は「COUMI ANC-860」の方が割安
恐らく今後は、3,000円台でもANCやマルチポイント対応、装着検知機能搭載なんてことも当たり前になるかもしれませんが、今現在の廉価イヤホン市場においていえば、ANC対応モデルはほんの少し割高傾向となっています。
「COUMI ANC-861」は、
- ANC機能を搭載した3000円台廉価TWSイヤホン
です。
ショップページではインナーイヤー型イヤホンと紹介されていますが、AirPods Pro同様カナル型に近い装着感です。
また本モデルは、現在廉価モデルで主流となっている、ACCコーデック対応高音質低遅延モデルです。
予算を絞ってANC性能を試してみたいなら、チェックしてみてください。
スペック紹介
COUMI Freedom Dots Hybrid Active Noise Cancellation Earbuds |
|
MODEL | ANC-861 |
---|---|
カラー | ホワイト |
素材 | ABS樹脂 |
イヤホンタイプ | インナーイヤー型 |
プロファイル | HFP/HSP/A2DP/AVRCP/AVRDP |
Bluetooth規格 | Bluetooth5.2 |
対応コーデック | SBC, ACC |
通信距離 | 360°≤10m |
連続再生時間 | ANC ON:4時間, ANC OFF:6時間 充電ケース併用時 ANC ON:16H, ANC OFF:24H |
充電時間 | 2時間 |
防水性 | IPX7※イヤホン部のみ |
重量 | 60g※実測値 |
寸法 | 20 x 24 x 30mm |
製品の特徴・概要
特徴は、
- ハイブリッドアクティブノイズキャンセリング機能搭載
- IPX7防水規格対応
- Bluetooth 5.2による接続安定性
- 感圧センサー採用により誤作動が少ない
などです。
またTWSイヤホンらしい長時間使用や、スペアまで用意された豊富なイヤーピースも健在。
「COUMI Freedom Dots(ANC-861)」音質や性能、付属品、価格含めてバランスがとれたイヤホンです。
- 一部の騒音を消してくれるANC技術
- 没入感も期待できる装着性
- 誤作動が激減する感圧センサー
- ややぼわついた音質
- 買い替えの決定打は少な目
COUMI Freedom Dots ANC-861 ワイヤレスイヤホン 実機レビュー・評価・感想
COUMIのブランドカラーはホワイトなのかブラックなのか、製品ごとに変えているだけだとは思いますが、ほぼすべての製品をレビューしてきた身からすると、少し統一感に欠ける印象です。
今回の「COUMI Freedom Dots(ANC-861)」は、aAirPods Proによく似たフォルムで、(価格は全然違いますが)狙ってる感は否めません。
ただ、化粧箱含め洗練されたデザインに仕上がっています。
化粧箱・パッケージ
前述の通り、パッケージはシンプルながら白を基調としたスタイリッシュなデザイン。
技適は下記ご参照ください。
筐体を衝撃から守る緩衝材(スポンジ)もホワイトに統一し、パッケージにも力を入れているのがうかがえます。
【パッケージ内容】
- COUMI Freedom Dots ANC-861 × 1セット
- ANC-861用充電ケース × 1
- イヤーチップ(大・中・小) × 各2セット※中1組は本体に装着済み
- USBケーブル(Type C) × 1
- クイックガイド × 1
- 保証書 × 1
- 取扱説明書他 × 各1
最近は日本語対応の取説や、日本国内の法令に順守すること自体珍しいものではなくなりましたが、COUMIブランドはかねてより、日本語対応の取説を採用しています。
筐体・デザイン
イヤホン
全体的に光沢のあるプラスチック素材が用いられており、樹脂感はかなり強いですが、それほど安っぽさは感じません。
TWSというと、通常タッチ式のモデルが多く、誤作動が多くなりがちですが、「COUMI Freedom Dots(ANC-861)」は、誤作動の少ない感圧センサータイプ。
"COUMI"のロゴの凹んでいる部分が、ファンクションボタンとなります。
内側の見やすい位置にL/Rの刻印があり、左右の確認は容易です。
また金属部分が縦に並んでいることから、充電時は挿し込まずに横に寝かせるタイプというのもお分かりいただけると思います。
画像はイヤーピースを外した状態です。
実はイヤーピース形状が「ANC-861」のちょっとした特徴で、ノズル部分は完全な円ではなく楕円形に設計されています。
また各所に小さな穴があり、ノイキャンや集音マイクが設計されているであろうことがわかります。
充電ケース
ケースもオール樹脂製ですが、部分部分で光沢とマットを使い分けています。
ケースのサイズは充分コンパクトながら、ミニマムというほどではなく至って標準的なサイズ。
PSEや技適、仕様や各種認証は裏側に印字されています。
USBポートはケース向かって正面側ではなく裏側に配置。
その隣にケース充電時確認用のLED(ホワイト)が配置されています。
内部中央には、リセットボタン、イヤホン収納時のLEDインジケーターが左右に配置され、その上のL/Rの刻印も、わかりやすい位置に配置されています。
蓋の開閉は可もなく不可もなくですが、開くとヒンジがカクっと固定される(勝手に閉まることがない)のは、個人的にストレスフリーで使えるため嬉しい設計です。
イヤピースは、S/M/Lの3種類が各1セットずつのものが多いと思います。
COUMIは各サイズスペアも付属しているため、計12個も同梱されています。
重量は実測で59~60g。
小数点切り捨てのスケールのため正確ではないかもしれませんが、イヤホン込みで約60gなので、携帯性は問題ないでしょう。
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COUMI Freedom Dots ANC-861 ワイヤレスイヤホン 使用感
価格相応のクリアな音質と接続安定性
価格からすれば、音質は比較的クリアで使い勝手のいいモデル。没入感もそれなりに味わえ、ドンシャリ感もなく音量も比較的適正に感じます。
様々なジャンルを聴き比べてみたところ、それぞれの音域もクリアでこの価格でこの音質なら満足度は高いです。
変なチューニングもなく、操作感も良好。価格から言えば普通に買いです。
とはいえ無理やり厳しいことを言うとすれば、ややまとまりがなくぼわついた音質とも言えるかもしれません。
ノーマルモードやアンビエントモードの違いはほとんどわかりませんでしたが、特に高音域の解像度が少し低いように感じます。
ANCオンにすれば幾分マシになるものの、ANCオンの状態でも少し物足りず。
ある程度ごまかしの効く楽曲だったり、そこまで没入感を求めていないなら特に問題ありませんが、立体感はやや乏しい印象です。
ただ、本章冒頭でいった通り、価格的には全く持って及第点どころか買いです。言わずもがな、音質も不満はなく言うほど悪くありません。
SBC/ACC両コーデック、Bluetooth5.2を採用しているため、遅延もなければ接続安定性も確保されています。
マイク音質は、静かな場所なら問題なく使えますが、相手側によるとそこまで通話品質は良くないようです(音が少し小さいとのこと)。
また装着時のフィット感はカナル型に近いものの、インナーイヤー型とのことなので遮音性は低め。
遮音性はあまり高くないので音漏れ注意です。
ショップページに記載がないため、ENCやパッシブノイズキャンセリングに関しては不明ですが、雑踏の中での使用は出来るだけ避け、室内での通話、リモート会議など、オマケ程度に思っておいた方がいいかもしれません。
※確認!
音質はデバイスの搭載チップや使用している音楽ソフトなど、環境、端末によって全く異なります。また、デバイスとの相性や趣向性、聴き手の好みにも左右されます。
当サイトでは、複数の端末でチェックしていますが、エージングまではしていません。10時間程度の視聴ですので、あらかじめご了承ください。(しばらく使って変化があれば追記します!)
一部の騒音にはバッチリ対応するANC
前モデルの「COUMI ANC-860」の技術を、移行&グレードアップしたであろうANC技術。
換気扇や扇風機(特にACモーター)、車のエンジン音など、特に低音の騒音を明確にかき消してくれます。
ただ逆に言うと、その他の音(テレビの音や会話、換気扇や車のエンジンなどの中高音域の音)は、ANCオンでも普通に聞こえます。
つまり完全な耳栓にはなりませんが、一部の不快な騒音に関しては間違いなく機能します。
車で例えるとエンジン車の音がハイブリット車の音になる感じです。※実際はそこまで消えません
少しわかりにくいですが、実際にはそこまでかき消すことはないものの、はっきりと違いがわかるレベルで、『COUMI ANC-860』のときと同様「おぉ、すごい、消えるw」が自然に漏れ出しました。
特に外出時は注意。ランニング時車に気付かず轢かれそうになったのはナイショの話。
感圧センサーで誤作動が激減
使用開始当初、タッチしても曲送りや戻し、停止すらできない状況に陥り「感度悪すぎっ!」と放り投げかけましたが、しっかり押しこまないと認識されません。
厳密には、押すというより棒の部分をつまむといった方が正解です。(操作がうまくいくとわずかにクリック音のような音が鳴る)
感圧センサー部分は、読んで字のごとく一定の圧力が必要です。
押し間違いはまず発生しませんし、刻み加工が施されているのでどこを押せばいいのか、触感による感覚で問題なく操作できます。
タッチセンサーのモデルは、操作時、充電ケースから持ち上げ時、耳からの着脱時など、どんなモデルであっても誤作動は起こり得ます。
タッチセンサータイプでは、筆者もケース収納時に誤作動で再生し、爆音で聴いていたために音漏れで恥ずかしい思いをしたことがあるひとりですが、本モデルは、 AirPods Proと同じような感圧センサータイプのため、誤作動が軽減します。
感圧センサーをお手頃価格で試せるという点でも、本製品は魅力的といえるかも知れません。
気になった点・注意したほうがいい点
廉価イヤホンもあり過ぎて、どれがいいのかは実際使ってみないとわかりません。
こういってしまうと元も子もありませんが、普段聴いている音楽のジャンルや好みのジャンル、音質など人それぞれ。
様々な機能が搭載されていたとしても、イヤホンである以上音質が全てです。
その中で本機を選ぶには、インパクトが薄く、
- 買い替えの決定打がやや乏しい
ように感じます。
というのも音質は、価格帯的にも至って平均といったところ(決して悪いというわけではなく、廉価中華モデルのクオリティが全体的に高い)。
本機もハイクオリティサウンドといっても問題はありませんが、敢えて言うと音質以外の部分(形状、感圧センサー、ANC機能、価格など)に特に魅力を感じるなら、充分おすすめできます。
ただしイヤホン形状については少し注意が必要で、筆者もそうでしたが、ノズル(イヤピース)が楕円なので、イヤーピースを変えても少し浮いてしまう感覚があります。
軽めの運動時でも落ちることはなかったものの、恐らく人によっては装着時のフィット感に不満を感じてしまうかもしれません。
また、以前レビューした「ACEFAST T1」と同様、音量調節機能は搭載されていません。
音量調節は常に、スマホ(タブレット、PC)側で行う必要があります。
COUMI Freedom Dots ANC-861 ワイヤレスイヤホン 総合評価
「COUMI Freedom Dots(ANC-861)」は、ANCやIPX7に対応していることから、タウンユースが主となると思います。
音質に関しては惜しいなと感じる部分は正直ありますが、この価格なら普通にオススメ。またその多機能を加味すれば価格的なメリットも充分感じられる製品です。
ANCは、期待しすぎると「あれ?こんなもん?」と痛い目を見る可能性はあるものの、一部の騒音には確実に効果があります。
気軽にANC機能を試したい、誤作動が多く感圧センサーモデルを探しているなど、少しイレギュラーな角度からTWSイヤホンを探しているなら、「COUMI Freedom Dots(ANC-861)」を試してみる価値は存分にありといえそうです。
【総合評価】 | |
製品名 | COUMI Freedom Dots(ANC-861) |
総合おすすめ度 | 4.7 |