ドキュメンタリーは好きですか。
著者もこれまで様々なジャンルの映画を観てきました。そして、当然のことながらそれぞれの映画にそれぞれの良さがあり、あらゆるジャンルの映画好きです。
その中でたまにドキュメンタリージャンルの映画って無性に観たくなりますよね。
“ドキュメンタリー(長編)映画監督”といっても、有名な方はたくさんいます。その中でもドキュメンタリー映画監督の第一人者と言えば「マイケル・ムーア」監督です。
その彼の名前が入った(邦題)ドキュメンタリー作品、「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」を視聴してみたのでそのレビューです!
※今回、その他いくつかの作品のレビュー依頼を販売元の企業からいただきまして、発売(レンタル)前のサンプルディスクを手に入れました!金銭の授受はありませんので公平にレビューしています!
Contents
あらすじ
あらすじと言ってもさほど語ることはありません。なんせドキュメンタリーですからね。ご存知、アメリカの銃規制をテーマにした『ボウリング・フォー・コロンバイン』で一躍有名になった「マイケル・ムーア」監督の最新作です。
※2016年10月12日(水) ブルーレイ&DVD 発売!2016年10月7日(金)レンタル開始です!
その彼が、世界のジョーシキを根こそぎ侵略するというのが今作。
邦題が「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」で原題が「Where to Invade Next」。若干邦題との差はありますが大体近い意味です。侵略といいつつも、簡単に言うと、アメリカ以外の様々な国から、良いところを盗んでアメリカに持って帰ろう、という話です。彼らしいブラックユーモアのあるタイトルですね。
順番が前後するかもしれませんが、ざっくり内容をまとめると下記の通りです。
- イタリア共和国の労働環境
- フランス共和国の給食
- フィンランド共和国の教育
- スロベニア共和国の大学
- ドイツ連邦共和国の労働者
- チュニジア共和国の男女平等
- ポルトガル共和国の犯罪
- ノルウェー王国の刑務所
- アイスランド共和国の男女平等
これらの国々にお決まりのアポなし?突撃インタビューでそれぞれのいいところを略奪していこうとします。
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作品概要
※記事軽量化のためサムネイルで表示されています。通常の動画同様クリックで再生されます。また、AMPでご覧の方はテキストリンクから動画をご覧ください。
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』予告編 - YouTube
- 製作:2015年,アメリカ
- 日本公開:2016年5月27日
- 上映時間:119分
- 原題:『Where to Invade Next』
- 映倫区分:PG12
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「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」感想・評価
画像元:http://sekai-shinryaku.jp/index.html
※注意!ネタバレアリ
いくつかモノ申したいことはあるんですが、まず一番初めに言いたいのは、ムーア監督作品の中ではマイルドで毒が少ないです。 『ボウリング・フォー・コロンバイン』、『華氏 911』、『シッコ』などでは、痛烈に社会風刺(アメリカを主軸に)している作品が目立ちましたが、今作はあまり毒がありません。
また、扱われている国々はヨーロッパがほとんどで、アジア圏は一切出てきません。ですので、アジア人にとっては、ぶっちゃけどうでもいい話になってしまいそうな気もします。
そして当然ながら、アメリカをベースにしていることもあり、アメリカの社会を全く知らないまま観ると「……」となる映画かもしれません。
では次章よりもう少し内容に踏み込んでいきます。
1.イタリア共和国の労働環境について
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”イタリアの休日” - YouTube
「イタリアは有給いっぱいだぜ!その結果生産性が上がったぜ!」という章です。
取り上げている企業が体力のある会社や福利厚生のしっかりした会社なので、全部が全部ではないと思います。イタリアにおいても貧困層はいますので。
ただ、やはり海外在住経験がある身としては、イタリアの労働環境は日本も少し見習いたいと思いました。日本も世界的に見れば、実はそこまで悪くない労働環境なんですが、それでも働き過ぎ(働いてもいいが対価が低かったり福利厚生が悪い)な気がします。
2.フランス共和国の給食
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”フランスの給食がスゴい” - YouTube
「フランスの給食凄いぜ!」という章。
給食でフレンチのフルコースが出てきます。使用している器も全て陶器。アメリカと比較すると雲泥の差と言った感じです。
日本に置き換えるとやはり食事は大事だと思います。海外滞在中に付き合っていたフランス人に聞いたことがあります。彼女曰く、食べ物が美味しい国は「1位:フランス、2位:イタリア、3位:日本」だそうです。僕も割とこれには同感です。食で人間形成ってあるのかもしれません。
3.フィンランド共和国の教育
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”宿題のないフィンランド” - YouTube
「フィンランドの学力世界ナンバー1だぜ!」という章。
宿題無い、授業短い、なのにバイリンガルどころかマルチリンガルな人々が多い国です。
この章は個人的にとても興味深かったです。日本人ももっとのびのび教育の方が良いのかもしれませんね。フィンランドにならって統一テスト廃止しましょう。
4.スロベニア共和国の大学
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”【借金】の意味が通じない学生” - YouTube
「スロベニアは大学の授業料無料だぜ!」という章。
外国人の生徒でさえも無料になるんだとか。借金という概念がそもそもなく、学生たちもエネルギッシュです。
留学するならスロベニアですね。
5.ドイツ連邦共和国の労働者
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”ドイツの経営陣と労働者” - YouTube
「ドイツの労働時間はクッソ短いぜ!」 という章。
1週間の労働時間はたったの36 時間、そして労働者は14時には帰宅するそうです。何て素晴らしい。監査役に労働者(従業員)が何人も入ることで、現場の声が反映され、労働環境が改善されたり、終業後の社員にコンタクトを取るのは絶対NGなど、素晴らしすぎます。
また、自国の過ちを見つめて、徹底的に学ばせる姿勢も、同じ敗戦国としては見習いたいですね。日本ももう少し自国の行いを学ばせた方が良い気がします。
7.ポルトガル共和国の犯罪
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”ポルトガルの警察” - YouTube
「ポルトガルはドラッグ所持も使用も(ほぼ)合法だぜ!」という章。
ポルトガルでは麻薬の使用では逮捕されることはなく、その結果使用率も下がったそうです。実際使用者の9割は安全でピースフルな人たちばかりなんだそうです。死刑制度へのありかたなど個人的に一番興味をそそる章でした。
ポルトガル人の友人は一人いますが、この辺の話はしたことがないので今度聞いてみようと思います。コロンビア人の友人が同じようなこと言ってたのを思い出しました。
8.ノルウェー王国の刑務所
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”ノルウェーの刑務所” - YouTube
「ノルウェーの刑務所快適すぎるぜ!」というのが本章。
受刑者がとてもいい暮らししてます。もちろん牢獄ではなく、一軒家で、殺人事件に合った遺族は果たしてどう思うのだろうと思いましたが、そのへんについてもふれています。 ノルウェーには死刑制度はなく、最長21年、殺人事件発生率の低さ世界1位だそうです。
こんな環境で育っていれば、否が応でも犯罪者に対する「復讐」という概念自体が消滅するのかもしれません。
9.アイスランド共和国の男女平等
▶映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』本編映像”アイスランドの女性リーダーたち” - YouTube
「女性が活躍しまくる国だぜ!」という章。
男女平等をいくら掲げてもなかなか平等にはなっていません。それがアイスランドでは、世界初の女性大統領、企業の役員の40~60%は女性など、本当の意味でも男女平等の国です。企業だけでなく議会でも女性の社会進出が目覚ましいんです。
本編ではリーマンショックと絡めた話になってますが、狭いコミュニティだけではなくもっと広い視野(私たち)が大切なんだということに女性ならではの視点がありそうです。
「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」評価
個人的な感想を言うとすれば、(国ごとに他の様々な問題があるにもかかわらず)いい面だけ切り取った、何とも「う~ん」と思わされる映画というのが率直な感想です。
とは言ってもさすがマイケル・ムーア監督。(いい側面のみ切り取っているので)内容を信じる信じないは別として、とてもわかりやすい描写になっています。
総合得点:60点/100点
・オススメ度:★★★☆☆
・ストーリー:★★☆☆☆
・キャスト:★★★☆☆
・映像:★★★☆☆
・演出:★★☆☆☆
・設定:★★★☆☆
アメリカの抱えている諸問題やバックグラウンドなどを分かっていればより楽しめる作品です。
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愛国心あるのは分かるけど痩せようぜ、ムーアさん!
歩いてるの見てるだけで息苦しそうだぜ!
あとがき
マイケル・ムーア監督の集大成という触れ込みがあったので、期待値が高かった分、もっと監督らしさが出ても良かったかなと思います。ただ、今作はこれまでアメリカをディスりまくっていた監督が、(カナダばかりだったのが)初めて外に目を向けたという意味で、見応えはあるんじゃないでしょうか。
きっと彼は愛国心の塊なんだと思います。常に自国(アメリカ)をディスりながらも、「このままじゃダメだ、もっと良くしなくては。」という愛国心が根底に常にあると思います。
ジャーナリストであり、ドキュメンタリー映画監督であり、テレビプロデューサーであり、テレビディレクターであり、政治活動家でもある彼の集大成映画、是非観てみて下さい!